自宅にいながらディズニーパークを楽しむブログ

年2、3回インパの遠方民がいかに自宅でディズニーパークを楽しんでいるかをお話しします

「タワー・オブ・テラー」の歴史について考えてみる・前編

異国情緒溢れる東京ディズニーシー
冒険とイマジネーションに溢れ
ロマンティックな景色と
スリリングな冒険を体験できます。

んで、そんな東京ディズニーランド
高く聳える建物の中に存在する
恐怖をテーマにしたアトラクション
それが…

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"Tower of Terror" by sanctumsolitude is licensed under CC BY-NC 2.0

タワー・オブ・テラー
呪いの偶像の力で主人が失踪したと言われている
恐怖のホテルを舞台に、
急上昇と急降下を繰り返す
呪われたエレベーターへと乗り込みます。

恐怖とホラー演出を全面的に押し出し
ある意味ディズニーらしくないようにも
思われるこのアトラクション。
 今回はこのアトラクションの歴史について
見ていこうと思います

タワー・オブ・テラーの歴史の根源を見るには
まずフロリダの超巨大ディズニーリゾート
ウォルト・ディズニー・ワールド
の中に存在するディズニーパークの1つ
ディズニー・ハリウッド・スタジオ
について見ていく必要があります。

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"File:The Great Movie Ride and Chinese Theater at Walt Disney World.jpg" by Jedi94 is licensed under CC BY-SA 3.0

ディズニー・ハリウッド・スタジオは1988年にオープン
当時は「ディズニー・MGM・スタジオ」という名前でした。
世界初の「ハリウッド映画の世界」をテーマにしたディズニーパークとして
映画の舞台装置や小道具を見ることができた他
実際にパークの中で映画の制作が行われ
その様子を見ることもできました。
(現在ではパーク内での映画の製作は終了しています)

そんなパークは開園当初からすぐさま人気パークとなりました。
しかし大きな問題が、
実はこのパークの開園当初は
アトラクションがなんと3つしか無かったのです。
その後オープンから数年でアトラクションが倍に増えましたが
倍に増えたと言っても…6つです…
その為パークには
多くのゲストを楽しませられるような
大人気アトラクションの建設が求められました。

この新アトラクションには、ある条件がありました
まずディズニー作品以外のコンテンツをテーマとしたアトラクションであること
当時のディズニー・MGM・スタジオは
映画会社の「MGM」と合同で作ったパークであり
スター・ウォーズマペットといった
ディズニー以外の作品からのコンテンツが数多くありました。

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"Star Tours (Hollywood Studios)" by Bismo Beerbelly is licensed under CC BY-NC 2.0

さらに条件!
このアトラクションはゲストが泊まるホテルと併設されているのが条件でした。
ホテルからすぐに体験できるアトラクション…
かなりワクワクするコンセプトです。
しかしこの案はすぐに没となります。
ホテルでゆったり休みたいというゲストのニーズと
大人気になるような刺激あふれるアトラクションは
相容れないと思われたからです。
ただ、この案が元でアトラクションのテーマをホテルにするという案が生まれました。

ホテルをテーマにどんなアトラクションを作るのか?
その案として出たのが「フリーフォール」という
乗り物を高いところから急速落下させるアトラクションでした。
だいぶタワー・オブ・テラーのコンセプトに近くなりましたが、
当時主流だったフリーフォールは
落下した後前進して速度を落として停止する
というものでした。

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当時主流だったフリーフォールの例
画像出典:File:Free Fall (Six Flags Over Georgia).jpg - Wikimedia Commons

ホテル型のアトラクションで構想されていたものはそれとは異なり、
実際のエレベーターのように上昇下降をする乗り物が
急速に動くことでフリーフォールになるというものでした。
そのため従来のフリーフォールとは異なり
エレベーターのブレーキだけで落下の速度を殺し
すぐさま再上昇させるシステムにする必要がありました。

いやしかし、そんな急速に上昇下降するエレベーターが作れるのか?
方法は簡単でした。
エレベーターの速度を制御している安全装置を外せば
エレベーターは重力で急速に落下するようになります。
早速高速落下するエレベーターを制作し、乗車してみたところ…
なんか…物足りない…
なんと、まだまだ速度が足りないという話になります。
というわけで、エレベーターを持ち上げるためのシャフトを下にも設置
落下するときは下のシャフトでエレベーターを引っ張ることによって
重力よりも速い速さでエレベーターを加工させることができるようになりました。

アトラクションの体験はかなり面白いものができてきましたが
問題はアトラクションのテーマでした。
先ほども述べたよう、ディズニー以外の作品をテーマとしなくてはなりません。
案の中には、「IT」などで有名なホラー小説化「スティーブン・キング」の小説を
有名なホラー俳優「ヴィンセント・プライス」のナレーションでめぐるといった
ホラーマシマシの内容のものもありました。
そんな様々な案の中で採用されたのは
トワイライトゾーン」という作品でした。

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"Twilight Zone Tower of Terror sign" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

トワイライトゾーンは1960年代のアメリカのドラマシリーズで、
「普通の人々がある日突然不思議な目に遭う」いうのがテーマでした。
この一貫したテーマを利用し
普通の人々であるはずのゲストが
訪れたホテルで奇妙な出来事に遭ってしまうというストーリーを作り上げたのです。

また、その不思議な世界観を再現するため
本来のエレベーターではありえないような特殊なシーンを追加しました。
それがエレベーターが前に向かって前進するというシーンです。
何をいっているのか分からないと思いますので
実際に動画で見てもらおうと思います…

下の動画の3:30〜(※アトラクションのネタバレ注意)

エレベーターが目玉や時計が浮かんでいる
不思議な空間を前進するのがお分かりいただけたでしょうか?
仕組みの話をすると、これはエレベーターが動いているのではなく
エレベーターの中に乗っているゲスト乗っている座席が乗り物として動いています。
この乗り物にはタイヤが付いていて自走できるようになっており、
地面の中に埋め込まれたワイヤーを頼りに進んで
前進した先にあるエレベーターに乗車するようになっているのです。

 

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"Twilight Zone Tower of Terror" by Sam Howzit is licensed under CC BY 2.0

こうして1994年、
トワイライトゾーンタワー・オブ・テラーがオープンしました。
初めて体験するエレベーターでの急速落下にゲストは大興奮
アトラクションは瞬く間に人気となり
落下回数も最初は1回のみだったのが
2回、3回と増加し
最終的には落下するタイミングが乗るたびに異なるようになりました。

ここまでディズニー・ハリウッド・スタジオにある
トワイライトゾーンタワー・オブ・テラー」について見ていきました
しかし我々がよく知るのはタワー・オブ・テラーで、
トワイライトゾーン」はテーマにはなっておらず
エレベーターは前には進みません。

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"Tower of Terror" by sanctumsolitude is licensed under CC BY-NC 2.0

この後どのようにして我々のよく知る「タワー・オブ・テラー」になったのか?
それについては後編でお話ししましょう。

↓後編はこちら!

mitukeymouse.hatenablog.com

参考文献

僅か2年でクローズした「ロケット・ロッド」について考えてみる

ディズニーパークには沢山のアトラクションが存在します。
それらのアトラクションは時代の変化とともに
絶えず進化し続けます。
中でも大人気アトラクションは
何十年も前から同じ内容のまま愛され続けることがあります。

しかし、数多あるアトラクションの中には
オープンしてから僅か2、3年で姿を消し
その後一切姿を見せなくなってしまったものもあります。
今回はそんな短命アトラクションの中の1つ
カリフォルニアのディズニーランドに僅か2年だけ存在した
「ロケット・ロッド」
について見ていこうと思います。

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画像出典:Rocket Rods in Disneyland's Tomorrowland [Closed]

こちらがそのロケット・ロッド。
5人乗りの乗り物に乗り、
猛スピードでトゥモローランドをかけ抜けます。
また、時にはトゥモローランドのアトラクション
スター・ツアーズ「スペース・マウンテン」などの内部に入り、
普段の視点では見れない中の様子を見ることができました。

ここで当時のアトラクション乗車動画を見てみましょう。

www.youtube.com

乗り物がかなりの速度で
緩急ある道を走り抜けているのが分かります。
なかなか楽しそうなアトラクションですが
一体なぜクローズしてしまったのか?
それではまず、ロケット・ロッドがオープンするまでを見てみましょう。

ロケット・ロッドが走行する以前
乗り物が走行していたレールの上には
別の乗り物が走っていました。

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画像出典:Disney Parks Featured Attraction - The PeopleMover at Disneyland Resort -

それがこちらの乗り物
名前を「ピープルムーバー」と言います。
ピープルムーバーはロケット・ロッドとは異なり
ゆっくりと線路の上を進むアトラクションでした。

このピープルムーバーがロケット・ロッドとなったのは
1998年にカリフォルニアのディズニーランドの
トゥモローランドで行われた大規模リニューアル
「ニュー・トゥモローランドの時でした。
東京ディズニーランドでも近年
「ニュー・ファンタジーランド」の名で
大規模なリニューアルが行われましたよね。
さぞかしニュー・トゥモローランドも大規模なものだったのだろうと
思われるかもしれませんが
実際はこんな感じでした……

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画像出典:New Tomorrowland: 1998 Renovation - Duchess of Disneyland

こちらがニュー・トゥモローランド後のスペースマウンテン
皆さんご存知の白ではなく、茶色がかった赤銅色となっています。
ご覧の通り、このリニューアルは
トゥモローランドレトロフューチャーをテーマに一新しよう
というものだったのですが、
殆どがただ色を塗り直しただけのものが多く
アトラクションもオープンしたものよりクローズしたものの方が多いといった状況でした。

そんなニュー・トゥモローランドの中では
割と力を入れて作られていたロケット・ロッド。
それでもいくつかの問題を抱えていました。
一番は、先述したとおり
「ピープルムーバー」という
元々あったアトラクションの線路を流用したこと。
ピープルムーバーはゆっくり走るため
線路は場所によって蛇行しています。
そんな線路を高速で走ろうとすると
蛇行する道のたびに
急なブレーキとアクセルを繰り返す必要があったため
乗り心地はあまり良くなかったと言います。

他にも高速でカーブを曲がる際にレールからタイヤが外れてしまったり、
車両同士の距離を保つために急ブレーキがかかったりなど
アトラクションを運営するだけでかなり乗り物に負担がかかっていました。
1998年の5月にオープンしましたが
僅か数ヶ月でメンテナンスのためにクローズ
夏の間中ずっとクローズとなってしまいました。
その後も頻繁にオープンとクローズを繰り返し
最終的には2000年に大規模メンテナンスのためにクローズ
その後帰ってくることはなかったようです。

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「2001年再オープン」と書かれた看板、結局戻ってくることはなかった
画像出典:Re-Opening? - a photo on Flickriver

しかし転んでもただでは起きないのがディズニーパーク。
ロケット・ロッドで培ったライド自体のモーターで自走するスリルアトラクションという概念は、その後のディズニーパークに生かされました。

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画像出典:Test Track | Disney Parks Wiki | Fandom

1999年にエプコットにオープンした「テスト・トラック」というアトラクション。
こちらは性能テストを行うための車に乗車し、
ブレーキテストやハンドリングテストを体験した後
最後には速度テストで時速100キロで道路を駆け抜けます。
自走する車に乗って急加速するというコンセプトは
その為に設計された道の上なら
上質な体験となることを証明しました。

さらにはこんなアトラクションにも…

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画像出典:File:Journey to the Center of the Earth vehicule TDS.JPG - Wikimedia Commons

東京ディズニーシーの大人気アトラクション
「センター・オブ・ジ・アース」では、
地底走行車という車に乗り
山の上から真っ逆さまに落下するという
スリル体験を開発しました。

僅か2年でクローズしてしまった
「ロケット・ロッド」
しかしそののインスピレーションは
今もテスト・トラックやセンター・オブ・ジ・アースの中に
生きているのかもしれません。

参考文献

「空飛ぶダンボ」の歴史について考えてみる

世界どこのディズニーランドを訪れたゲストでも
必ず必ず乗った事がある……いや、
少なくとも必ず見た事があると言えるアトラクションがあります。
それが
空飛ぶダンボです。

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"Dumbo the Flying Elephant" by coconut wireless is licensed under CC BY-ND 2.0

なんでそんな事が言えるのか?
実は空飛ぶダンボ
世界全てのディズニーランドに存在する唯一のアトラクションなのです。
ただしテーマは違えどメリーゴーランドは全ての国のパークにあるので
空飛ぶダンボのみが特別なわけでは無いですが…
そんなディズニーランドには欠かせ得ない特別なアトラクションである
空飛ぶダンボの歴史を
その誕生から見ていこうと思います。

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"Dumbo the Flying Elephant" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

世界初のディズニーランドがオープンしたのは?
1955年7月17日です
それで世界初の空飛ぶダンボがオープンしたのはいつかというと、
1955年8月16日
パークのオープンから1ヶ月後にオープンしたのです。
この1ヶ月という数字、実は元から計画されていたのではなく、
本当は開園と同時にオープンする予定だったのが
開園に間に合わなかったのです。

開園に間に合わなかった理由は
とある機能がうまく動作しなかったからでした。
その機能が、ダンボが空を飛ぶ時に耳を羽ばたかせる
というものです。
しかし…皆さんは耳を羽ばたかせるダンボに乗った事がありますか?
そう、結局ダンボが耳を羽ばたかせる機能は動作しないまま
オープンすることになりました。

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画像出典:Disneyland Year One - pt. 4 - Disney History Institute

こちらがそんなオープン当初の空飛ぶダンボ
耳をよーく見ると、動作させるためのヒンジが付いていたのです。
勘のいいゲストはこの耳に気付いていたんだとか。
そんなディズニーランドのダンボには
他のディズニーランドにはないとあるものが置いてありました。

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"Dumbo The Flying Elephant - The Band Organ" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

それがこちら。
ダンボの後ろには木の笛のようなものが並んでいます。
これ実はオルガンで、それも自動で演奏する「自動オルガン」なのです。
このようなオルガンは現在のようにスピーカーが登場する前に
遊園地などで音楽を流すために使用されたもので
このオルガンも1915年に作られたようです。
かなり遠くまで聞こえる大きな音が出せるのが特徴で
1キロ以上先にも曲が聴こえるんだとか。

耳を羽ばたかせることはなく登場したダンボですが
ゲストから人気になるのには十分でした。
そんな人気な空飛ぶダンボ
当然後にオープンした
フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド
日本の東京ディズニーランド
フランスの「ディズニーランド・パリ」にも作られました。
そのディズニーランド・パリの空飛ぶダンボかなり改良が加えられたのです。

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"Dumbo The Flying Elephant at Hong Kong Disneyland" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

それがこちらの空飛ぶダンボ
ダンボの下に水が敷かれ、支柱の装飾も豪華になり、
ダンボの数も今までの10匹から16匹に増えました。
このダンボは最初にディズニーランド・パリでデビューする予定でしたが
パークの開園より早く完成してしまったためカリフォルニアのディズニーランドで初登場。
その後、ウォルト・ディズニー・ワールド香港ディズニーランド上海ディズニーランドにも作られました
世界5つのディズニーランドに作られました
それなのに
それなのに
東京ディズニーランドには作られていないんです。

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"Dumbo the Flying Elephant" by coconut wireless is licensed under CC BY-ND 2.0

こちらが皆さんご存知東京ディズニーランド空飛ぶダンボ
昔ながらの装飾で、ダンボの数も10匹のままです
今後このダンボがリニューアルされるかどうかは不明ですが
空飛ぶダンボがリニューアルされるという話が過去に出たことはありました。

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画像出典:Walt Disney Company on Twitter: "Multi-year expansion announced for Tokyo Disney Resort: http://t.co/iPyQjosAT1 http://t.co/QCPflLgRND"

上のイラストは2014年頃に発表されたファンタジーランドのリニューアル案。
不思議の国のアリスエリア」など当時話題になりましたが、
皆さんもご存知の通り、最終的に美女と野獣エリアのみが作られました。
このイラストの真ん中上部、
トゥモローランドファンタジーランドの間を見ると…
そう!空飛ぶダンボがリニューアルしてこの場所に移設されているのです!
空飛ぶダンボのリニューアルは案外遠くないのかもしれません。

さて、最後に最新の空飛ぶダンボを紹介しましょう。
それはフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドのダンボ
2012年に「ニュー・ファンタジーランド」という大規模開発の一環で
大規模なリニューアルがされました。
そのダンボがこちら。

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"Dueling Dumbos!" by Brett Kiger is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

大きな門の向こう
右と左で回転しているのが空飛ぶダンボです。
なんと空飛ぶダンボが2つに増えました。
左は時計回り、右は反時計回りとなっています。
そして真ん中にはテントが配置されています
このテントの内部はどうなっているのかというと…

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"Queueless Queue" by Brett Kiger is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

映画「ダンボ」のサーカスが再現されたアスレチックとなっています。
このアスレチックは空飛ぶダンボに乗るまで待っている間に遊ぶことができるのです。
待ち時間も退屈せずに過ごすことができ
小さい子供から人気が高い空飛ぶダンボにぴったりのアスレチックと言えるでしょう

www.tokyodisneyresort.jp

参考文献

「スター・ジェット」の歴史について考えてみる

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"Rocket to the USA" by Peter E. Lee is licensed under CC BY-NC 2.0

2017年まで東京ディズニーランドに存在したアトラクション。
「スター・ジェット」
東京ディズニーランドの開園当初から存在したアトラクションで、
跡地は映画「美女と野獣」をテーマにしたエリアの一部となっています。
しかし開園当初から存在したアトラクションですし
海外のディズニーランドにもあるんじゃないの?
と思われるかもしれません。
実は世界のスター・ジェットは現在
全て違った形になっているのです。
今回はそんな懐かしアトラクション「スター・ジェット」
歴史を見ていきましょう。

世界初のディズニーランドがオープンしたのは?
今から65年以上前の1955年です。
そして初めてのスタージェットがオープンしたのはそれから1年後
1956年のことでした。

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画像出典:OLD TOMOROWLAND MONTH: Disneyland's First "Major New Ride" - Disney History Institute

これが一番最初のスタージェット
名前を「アストロ・ジェット」と言いました。
このタイプのアトラクションというと空飛ぶダンボが有名ですが、
実は空飛ぶダンボよりこちらのアトラクションの方が
オープンが先なのです。
置かれている場所は建物の上ではないですが、
ロケットの棒が繋がっている真ん中の支柱が
上に上がるといえ原型は完成されています。

これが建物の上に建つようになるのは
それから約10年後のこと、

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"Rocket Jets ride, Disneyland, 1979" by Distraction Limited is licensed under CC BY 2.0

こちらが先程のアストロジェットを改装して作られた
「ロケット・ジェット」といアトラクションです。
皆さんの知っている「スター・ジェット」にかなり近いですよね。
でも下に乗り物らしきものが走っている?
これはなんでしょう。

こちらは「ピープルムーバー」という乗り物のアトラクション。
ピープルムーバーの線路はトゥモローランド中に張り巡らされており、
建物の中に入ることもあります。
そんなピープルムーバーの乗り場が
ロケット・ジェットの建物の下にありました。
なのでロケット・ジェットは建物の上に建てられたのです。

ちょっと待って?
東京ディズニーランドにはピープルムーバーなんて
アトラクションはありません。
しかしスター・ジェットはロケットだけでなく
わざわざ下の建物も建設されました。
何故ロケットだけを作らなかったのか?

ここからはあくまで筆者による個人的な予想ですが
おそらくスター・ジェットが建てられた場所が関係していたのだと思います。

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"Rocket to the USA" by Peter E. Lee is licensed under CC BY-NC 2.0

スター・ジェットはどこに建設されていたか
覚えていますか?
上の写真だとわかりづらいですが、
トゥモローランドファンタジーランドの間に
建てられていました。
ここは2つのエリアの境を明確にするだけでなく、
パークに入りまず城の前まで来たゲストを
トゥモローランドへ誘導する役割を果たしていたのではないかと思います。
ゲストを引き寄せる目印として
これほどクールで目立つものはないでしょう?

さてさて、その後ヨーロッパのディズニーランドである
ディズニーランド・パリがオープンしたのですが。
実はディズニーランド・パリにトゥモローランドはありません。
その代わり昔の人が思い描いた未来をテーマにした
ディスカバリーランド」というエリアが存在します。
そんなエリアのために改良されたスター・ジェットがこちら。

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"Orbitron - Disneyland Paris" by wrayckage is licensed under CC BY 2.0

「オービトロン」と呼ばれるこちらのアトラクションは、
場所も建物の上ではなくなり
中心のロケットも天体模型風のデザインに変更されました。
この模型はレオナルド・ダ・ヴィンチの太陽系のスケッチをモデルとして作られています。
レトロフューチャー感溢れる素晴らしいデザインですね。
あまりにもこのデザインが素晴らしかったので
実はカリフォルニアのディズニーランドにも逆輸入されました。

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"Tomorrowland" by camknows is licensed under CC BY-NC-SA 2.0

それがこちらの「アストロ・オービター」
色は違いまずが、形はそっくりです
因みにこの色はのちに塗りなおされたものなので
オープン当初は全く同じものでした。
しかしこれが作られたのは地面の上…
あれ?
じゃあ建物の上にあったロケット・ジェットはどうなったのでしょう?
そんなロケット・ジェットの現在の様子がこちらとなります…

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"Observatron" by woofiegrrl is licensed under CC BY-ND 2.0

え、なにこれ…
このオブジェは「オブザベートロン」と言います。
似たような名前が続いて紛らわしいですね。
あくまでオブジェ、アトラクションではありません
よく見ると、実は元のアトラクションの骨格がそのまま残っています。
真ん中の支柱、いくつものアンテナを支えてるアーム、分かります?
過去には一定時間ごとにトゥモローランドのBGMに合わせて回転していたようですが
現在ではただのオブジェになってしまったようです…
因みにアトラクションの下を走っていたピープルムーバーも
現在はもう運営しておらず
線路のみが残されています。

…まだ希望を捨ててはいけません
ここまで「カリフォルニアのディズニーランド」と「東京ディズニーランド」の
スター・ジェットの顛末を見てきましたが、
実はスター・ジェットはフロリダの「ウォルト・ディズニー・ワールド」にも存在しました。
そしてウォルト・ディズニー・ワールドの現在のスター・ジェットがこちら。

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"Disney World: Magic Kingdom - Astro Orbiter" by wallyg is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

おぉ!
やっと正当な進化と言えそうなものが登場しました。
名前はカリフォルニアのディズニーランドのものと同じ「アストロ・オービター」ですが、
内容は完全に異なります。
惑星模型が周りに配置されたことにより
宇宙をロケットで飛ぶような体験が味わえるようになっています。
何故ディズニーランドとウォルト・ディズニー・ワールドでここまで差が出てしまったのか?
こちらもなかなか面白い話なので
またいつかブログに書ければと思います。

 

参考文献

世界の「タワー・オブ・テラー」を比べてみる

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"Tower of Terror" by sanctumsolitude is licensed under CC BY-NC 2.0

東京ディズニーシー
高く聳える塔の中に存在するアトラクション
タワー・オブ・テラー
主人が失踪した呪われたホテルに
ツアー客として訪れたゲストは、
呪いの力でエレベーターに乗って
激しく上下されることになる
スリル満点なアトラクションとなっています。

さてこのアトラクション、
人気なだけあり世界4ヶ所のパークに存在するのですが
実は全て内容が異なります。
中にはアトラクションの形も体験も全く異なるものもあるので
順を追って説明していこうと思います。

目次

トワイライトゾーンタワー・オブ・テラー (ディズニー・ハリウッド・スタジオ)

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"Twilight Zone Tower of Terror" by Sam Howzit is licensed under CC BY 2.0

早速皆さんがご存知のものとは
名前も形も異なるものが登場しましたが、
こちらが世界で初めてのタワー・オブ・テラーとなります。
オープンしたのは1994年と、
実はかなり歴史のあるアトラクションです。

名前にもあるように、このアトラクションは
トワイライトゾーンという
アメリカの1960年代のドラマシリーズが元になっています。
このドラマの名前を知らないという方でも
この特徴的なオープニングは知っている方が多いのではないでしょうか?

www.youtube.com

ドラマの内容は普通の人々が奇妙な目に合うというもので、
日本のドラマ世にも奇妙な物語に似ており
世にも奇妙な物語の実際モデルになったと言われています。

そんなドラマがテーマとなっているため
当然ストーリーも異なります。
トワイライトゾーンタワー・オブ・テラーでは
建物に落ちた落雷によって建物ごとエレベーターに乗っていた
乗客も一緒に消えてしまうという超常現象が起きたホテルで
ゲストは同じエレベーターに乗る
というストーリーになっています。

また、体験も大きく異なります。
その中でも最も異なる点は、
エレベーターに乗車したゲストの座席が
そのまま前へと進むシーンがあることです。
…多分文章だけでは何を言っているのかわからないと思うので、
実際に動画で見てもらうのが早いと思います。

下の動画の3:30〜(※ネタバレ注意)

www.youtube.com

どうでしょうか?
本当に前に進んだのが分かって頂けたかと思います。
この前に進むエレベーターは
ディズニー・ハリウッド・スタジオにある
トワイライトゾーンタワー・オブ・テラー限定の演出となっています。

トワイライトゾーンタワー・オブ・テラー (ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー)

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"Disney California Adventure 079" by Roller Coaster Philosophy is licensed under CC BY 2.0

※注意
このアトラクションは2016年にクローズしており、現在は運営していません。

皆さんのよく知るタワー・オブ・テラー
随分近い形をしていると思います。
大筋のストーリーはディズニー・ハリウッド・スタジオのものと
ほとんど変わっていませんが、
エレベーターが前に進むシーンが消去され、
その代わり激しく上下するエレベーターの数が2つから3つに増え
より多くのゲストが楽しめるようになりました。
この建物の形状が東京ディズニーシー
タワー・オブ・テラーにも引き継がれています。

トワイライトゾーンタワー・オブ・テラー (ウォルト・ディズニー・スタジオ (パリ))

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"Twilight Zone Tower of Terror" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

先程まではアメリカのパークのものでしたが
こちらはフランスのディズニーパークに建てられたタワー・オブ・テラー
一見先程のものと全く同じに見えますが
いえいえ、よーく見てください
実は先程のものがコンクリートで作られているのに対し
こちらはなんと石造りで作られているのです!

……いや失礼、そうです全く同じです。
ただ、フランスのものは2019年にリニューアルがされ、
トワイライト・ゾーンタワー・オブ・テラー - ア・ニュー・ディメンション・オブ・チル」
となりました。名前長いんですよ。
このリニューアルでは3つのストーリーがランダムで選ばれ、
より恐怖感の強い体験が味わえるようになりました。
また、このリニューアルがされた後にエレベーターで響き渡る笑い声が
東京ディズニーシータワー・オブ・テラーに登場する
あのシリキ・ウトゥンドゥにそっくりと一時期話題にもなりましたが
関係性は現在でも不明なままです。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト

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"GOTG ride" by Alex.R.D is licensed under CC BY 2.0

もう名前もデザインも
テーマ性すらも何もかも違いますが
これも一応紹介しておこうと思います。
先述したディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー
トワイライトゾーンタワー・オブ・テラーをリニューアルして作られました。

マーベル作品の映画「ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー」がテーマになっており、
ストーリーを映画を知らない人にも分かるように説明すると
ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシーのメンバーが
宇宙中のものを収集している「コレクター」に捕まってしまい
コレクターの要塞を訪れたゲストが脱出のために協力するのですが
トラブルでゲストの乗ったエレベーターが暴走するというものになっています。

今までタワー・オブ・テラーといえば
恐怖体験をテーマとしたものが主でしたが、
こちらはストーリーからも分かるように
ハチャメチャなギャグテイストなアトラクションとなっており
上昇下降中にはアメリカの70年代のヒットソングが流れ
ノリノリで楽しむようなテイストとなっています。

以上、世界の「タワー・オブ・テラー」を比べてみました。
主軸となる「エレベーターで激しく上昇落下を繰り返す」という
大元のコンセプトはそのままに
様々な体験を味合わせてくれるタワー・オブ・テラー
そんな型破りなアトラクションがどのようにして誕生したのか?
その話もかなり奥が深いので
また今度お話ししようと思います。

www.tokyodisneyresort.jp

世界のディズニーランドの「城」について考えてみる・後編

それでは前回のブログ
 ディズニーランドの「城」について考えてみる・前編
で紹介しきれなかったアトラクションについて紹介していきます

↓前編はこちら!

mitukeymouse.hatenablog.com

眠れる森の美女の城 (ディズニーランド・パリ)

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"Sleeping Beauty Castle, Disneyland, Paris" by heatheronhertravels is licensed under CC BY 2.0

こちらがフランスのディズニーパーク
ディズニーランド・パリの中心にある
「眠れる森の美女の城」です
太い塔、巨大な窓、カラフルな色合いと
まるでおとぎ話から飛び出してきたようなお城となっています。
全編のブログを読んでくださった方はお気づきかもしれませんが
眠れる森の美女の城はカリフォルニアのディズニーランドにもありましたよね?

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"Sleeping Beauty Castle" by HarshLight is licensed under <a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/?re

はい、こちらがカリフォルニアの眠れる森の美女の城の城
しかも形が全然違う。
一体どういうことなのでしょうか?
実はこの2つのお城には、とある共通点があります。
その共通点が…
城の名前はなんでもよかった
ということなのです。

カリフォルニアの眠れる森の美女の城の名前がなんでもよかった理由は
前回のブログを見てもらうとして、
ディズニーランド・パリのお城の方ですが
最初は「シンデレラ城」として話が進んでいました。
それがなぜ眠れる森の美女の城となったのか?
実は眠れる森の美女はフランス語で
「Le Château de la Belle au Bois Dormant」
と言うのですが
この名前が長くてカッコ良かったから…という理由なのです。
え?ほんとですよ?

そんな感じで命名された眠れる森の美女の城ですが
お城の内部には
映画「眠れる森の美女」にまつわる要素が多くあります。

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"Sleeping Beauty Castle, Disneyland, Paris" by heatheronhertravels is licensed under CC BY 2.0

例えば、お城の中にはこのような「眠れる森の美女」のストーリーを再現したステンドガラスが飾られています。

そして、お城の地下に行くと…

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"Dragon's Lair" by Sheep'R'Us is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

なんと巨大なドラゴンがいます
この怪しく光る洞窟にはドラゴンが眠っているのですが、
ゲストが近くを通るとドラゴンは目を覚まし、
ゲストに向かって吠えかかってきます。
地上の煌びやかなお城や眠れる森の美女の世界と、
地下のドラゴンの恐ろしさ
両面を備え持ったお城となっているのです。

エンチャンテッド・ストーリーブック・キャッスル (上海ディズニーランド)

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"Enchanted Storybook Castle" by ClRyu is licensed under CC BY-NC 2.0

中国のディズニーランドである
上海ディズニーランドのお城
「エンチャンテッド・ストーリーブック・キャッスル」
今までのお城と比べると高さが感じられないので
そんなに大きくないかのように見えるかもしれませんが
世界のディズニーランドで
最も大きなお城
なのです。

このお城はシンデレラや眠れる森の美女だけでなく
ティアナ、エルサ、メリダラプンツェル、白雪姫、ベルといった
全てのディズニープリンセスが集う城となっており
様々なディズニープリンセスの要素が散りばめられています。
また、内部には
「ロイヤルバンケット・ホール」というレストラン、
小さなゲストがプリンセスになれる「ビビディ・バビディ・ブティック」
「ワンス・アポン・ア・タイム・アドベンチャーというウォークスルーアトラクション…
などなど、
複数の施設がこのお城の中に収まっているのです。
世界一大きなディズニーランドである
上海ディズニーランドならではの
ゴージャスなお城となっています。

キャッスル・オブ・マジカル・ドリームス (香港ディズニーランド)

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画像出典:File:20201019 Castle of Magical Dreams.jpg - Wikimedia Commons

香港ディズニーランドの中心にあるお城が
この「キャッスル・オブ・マジカル・ドリームス」です。
こちらも様々なプリンセスがテーマになっている
比較的新しいお城となっています。

さて、このお城
どこかで見覚えがありませんか?
このブログ内でも少しだけ登場しましたよ
それではこのお城があった場所の
数年前の姿を見てみましょう。

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"Sleeping Beauty Castle" by Yuxuan.fishy.Wang is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

そうです、眠れる森の美女の城です
香港ディズニーランドには
開園した2005年から2018年まで
カリフォルニアのディズニーランドと同じ
眠れる森の美女の城がありました

どうしてこの小さなお城が作られたのか?
…という話なんですが
開園当初の香港ディズニーランドというのは
金銭的にも地理的にも余裕が無く
経済的に小さなお城が選ばれたものだと思われます…

それから十数年後、
パークもかなり拡張して余裕が出てきた時に
眠れる森の美女の城を拡張しようという話になったそうです。
と、いうのも
元々カリフォルニアのディズニーランドのお城も
いつか拡張しようという案があったらしいのですが
いろいろ忙しくタイミングが無いまま今日まで来てしまったようです。
しかしあちらはもう60年以上の歴史を持ってしまい下手にいじれません
そこで全く同じお城である香港ディズニーランドのお城が
拡張されたという訳なのです。

以上、世界のディズニーランドの「城」について考えてみました。
皆さんはどれだけのお城を知っていましたか?
パークの数だけお城もあります
知らないパークもお城を起点に調べてみたら面白いかもしれません。

参考文献

世界のディズニーランドの「城」について考えてみる・前編

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"Sleeping Beauty Castle" by HarshLight is licensed under CC BY 2.0

ディズニーランドといえば?
やっぱりお城ですよね!
ディズニーランドに行ってお城を見たことないなんて人はいませんし、
ある意味お城が無かったらディズニーランドではないのかもしれません。
今回はそんなディズニーランドのお城について考えていこうと思います。

目次

そもそもなんでお城があるの?

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"Tokyo Disneyland Marching Band Waves" by Peter E. Lee is licensed under CC BY-NC 2.0

確かにディズニーランドといえばお城ですが、
そもそも何のためにお城があるのでしょう?
その謎を探るため、
まずはお城がどんな場所にあるかを考えてみましょう。

ディズニーランドに入ると、真っ直ぐな商店街がありその先にお城が見えます。
お城に向かって進み商店街を抜けると、いくつかの花壇で構成された大きな広場が出てきます。
この広場からは、パークの中のアドベンチャーランドトゥモローランドといった複数のエリアへ道がつながっています。
実はこれ自体がディズニーランドの策略なのです。

ディズニーランドに来たゲストは、遥か遠くにそびえ立つお城に興奮して真っ先にお城に行こうとします。
ここで実は無意識のうちにディズニーランドの中心にまで来るように誘導されているのです。
お城の前の広場は様々なエリアにつながっているため、ゲストは自分の興味の持った道を選んで好きな場所に行くことができます。
こうしてディズニーランドを訪れたゲストは皆思い思いの場所で遊ぶことができるというわけです。

何故ディズニーランドにお城があるのかが分かってもらえたと思います。
このお城を目印にゲストをパークの中に呼び込むシステムは、
ディズニーランド以外のパークやテーマパーク以外でも活用されている方法です。
では次はそんなお城が国によってどのように異なるのかを見ていきましょう。

眠れる森の美女の城 (ディズニーランド・カリフォルニア)

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"Sleeping Beauty Castle" by HarshLight is licensed under CC BY 2.0

世界で初めてオープンしたディズニーランドのお城。
他のお城が50m以上と大きいのに対し、
こちらのお城は約23mとかなり小さめ。
このコンパクトなお城には、
「西洋のお城は平民を威嚇するために大きく建てられたことが多いが
ディズニーランドのお城は親しみを持ってもらうため小さなお城にしよう」
という意味が込められているのです。
決して予算不足とかじゃないのよ?

このお城の名前は「眠れる森の美女の城」となっていますが、
実はお城の名前は何でも良かったのです。
当初は「中世の城」「ファンタジーランドの城」とか呼ばれてたんだとか…
それで丁度数年後に公開予定だった映画「眠れる森の美女」の宣伝も兼ねて
眠れる森の美女の城という名前になったのです。
現在は中に眠れる森の美女をテーマにした展示アトラクションがありますよ。

シンデレラ城 (マジック・キングダム)

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"Magic Kingdom (2020)" by jpellgen (@1179_jp) is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

フロリダの「マジック・キングダム」というディズニーランドに作られた
2つ目のお城が「シンデレラ城」です。
巨大なお城でこれぞディズニーランド!という感じがしますが、
ちょっと待ってください
先程、ディズニーランドのお城が小さめに作られたのは
ゲストに親しみをもってもらうためという話をしたばかりです。
こんな大きなお城を建てていいんですか?
やはり自慢のパークには大きいお城を建てたくなっちゃった…
という訳ではなく、
マジック・キングダムならではの理由がありました。

マジック・キングダムは、「ウォルト・ディズニー・ワールド」という
山手線の1.5倍もある広大なリゾートの端っこにぽつんと建っておりまして、
パークの前には「セブンシーズ・ラグーン」という
これまた大きな湖があります。
んで、なんとマジック・キングダムに行くには
この湖を船で渡る以外の方法がありません。
そして、湖の対岸から見たマジック・キングダムがこんな感じ

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"File:Ferry Boat, Seven Seas Lagoon, Magic Kingdom - panoramio.jpg" by Raman Patel is licensed under CC BY 3.0

と、遠い…
見えますか?あの遠くにあるお城がそうです。
つまり遥か遠くにあっても場所が分かるように
目印であるお城を大きく作ったのです。
パークが変わればお城も変わる、という訳ですね

シンデレラ城 (東京ディズニーランド)

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"Tokyo Disneyland" by Socmus2000 is licensed under CC BY-NC 2.0

おそらく皆さんにとって最もポピュラーなお城。
日本に作られた「東京ディズニーランド」のお城です。
初めてのアメリカ国外のディズニーランドには、
大きなシンデレラ城が採用されました。
何故シンデレラ城が採用されたのか?
これはあくまで筆者の予想ですが、
東京ディズニーランドの入り口には
ワールドバザール」という
巨大なガラス屋根がつけられた商店街が存在します。

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"view fromTokyo Disneyland monorail station" by coconut wireless is licensed under CC BY-ND 2.0

そのため、パーク外からパークを見ようとしても
殆どこのガラス屋根しか見えません。
しかしこの大きなシンデレラ城ならば
ワールドバザールの外からも見えるため
東京ディズニーランドに来た人にも
パークがどこにあるかをちゃんと知らせることができます。
遠くからよく見えるよう設計したシンデレラ城が
日本のパークでも役に立った訳ですね。

因みにこのシンデレラ城。
外見はマジック・キングダムのものと同じですが、
中にはシンデレラ城ミステリーツアーという
悪役に支配されたシンデレラ城を冒険する
オリジナルのアトラクションがありました。
現在はシンデレラの美術品を見れるアトラクションや
結婚式のための式場が存在します。

さて、
ディズニーランドは他にも世界3箇所に存在し
それぞれ異なるお城が建っているのですが
この続きはまた後編でお話しましょう。

↓後編はこちら!

mitukeymouse.hatenablog.com

www.tokyodisneyresort.jp

参考文献