自宅にいながらディズニーパークを楽しむブログ

年2、3回インパの遠方民がいかに自宅でディズニーパークを楽しんでいるかをお話しします

「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」の歴史について考えてみる #d_advent

このブログは、「ディズニー関連ブログ Advent Calendar 2021」の18日目です。

adventar.org

激動の2021年もそろそろ終わりですね。
我々Dヲタにとって、2021年といえばやはり東京ディズニーシー20周年でしょうか
新型コロナウイルス感染予防対策のため様々な制限があった上でのアニバーサリーイベントでしたが、それでもこうしてアニバーサリーイベントが行われているのは凄いことだと思います。

と、いうわけで、今回は東京ディズニーシーと共にオープンし、共に20周年を迎えたアトラクションのうちの1つを解説していこうと思います。
解説するアトラクションはこちら!

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"Crystal Skull Pyramid @TokyoDisneySea" by zayzayem is licensed under CC BY-SA 2.0

インディ・ジョーンズ・アドベンチャークリスタルスカルの魔宮」です!
数多あるアトラクションの中で何故このアトラクションを選んだのか?
実は東京ディズニーシーと共にオープンしたアトラクションの中で、インディ・ジョーンズ・アドベンチャー唯一海外に既にあったアトラクションを輸入された大型アトラクションなのです。
(小型でしたらジャンピン・ジェリーフィッシュも輸入されたアトラクションにはいります。)

しかし海外にあるインディ・ジョーンズ・アドベンチャーをそのまま持ってきたわけではなく、東京ディズニーシーオリジナルの独自の変更も多く行われました。
それについても後々話していこうと思います。

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"Indiana Jones Stunt Spectacular! Sign Detail" by IceNineJon is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

1990年代、
世界のディズニーパークには空前のインディ・ジョーンズブームが来ていました。
ディズニー・MGM・スタジオというパークの「グレートムービー・ライド」というアトラクションにインディ・ジョーンズが登場したのを皮切りに、
同パークではインディ・ジョーンズ・エピック・スタント・スペクタキュラー」というスタントショーが行われ、
フランスのディズニーランド・パリではインディ・ジョーンズと危難の魔宮」というジェットコースターがオープンしました。
さらにはインディ・ジョーンズをテーマとした超巨大プロジェクトまで計画されていたのです…

www.pinterest.jp

こちらのコンセプトアートはそのプロジェクトのもの、
カリフォルニアのディズニーランドのアドベンチャーランドを丸々インディ・ジョーンズエリアにしようという壮大なもので
寺院の奥への交通機関となったジャングルクルーズロッコがテーマの大型コースター魔宮を冒険する大型アトラクションなどが予定されていました。

しかし当時のディズニーの財政難により大規模リニューアル案はボツとなり、
魔宮を冒険する大型アトラクションのみが作られることになりました。
こうして1995年にカリフォルニアのディズニーランドに
インディ・ジョーンズ・アドベンチャーがオープンしました。

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"Indiana Jones Adventure" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

こちらがディズニーランドのインディ・ジョーンズ・アドベンチャーの外観。
東京ディズニーシーのものに比べるとかなり小さく見えます。
実は当時既に開園から40周年を迎えていたディズニーランド。
何度もパークの拡張を行なってきたため空き地が殆ど存在せず、
インディ・ジョーンズ・アドベンチャーパークの外にある駐車場跡地に作られることになりました。
そのためアトラクションの乗り場までに行くためにひたすら直線に長い道を進む必要があるようになっています。
アトラクション入り口のもっとずっと奥にあるため、入り口の寺院はこじんまりとしているのです。

さてこのインディ・ジョーンズ・アドベンチャー、皆さんがよく知るインディ・ジョーンズ・アドベンチャーとは内容がかなーり違います。
まずクリスタルスカルは登場しません。
その代わりにマーラという神が登場します。

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"Indiana Jones Adventure: Temple of the Forbidden Eye" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

マーラは魔宮を訪れたものに「未来を見る力」「莫大な金」「永遠の若さ」のうちのどれかをくれると言われています。
ただし、マーラは自分の目を見られることを嫌っています。
魔宮の中に入って扉を通り、目の前に現れたマーラの石像の目を見てしまったせいで、ゲストはマーラに襲われることになるのです。
まぁ、ここで全員が目を瞑っていたとしてもマーラに襲われるんですけどね

他にも、ジープが最初に通るドアが3枚横に並んだ場所があり、
乗るたびにそれぞれ違うドアに入るという演出があります。
実はドア自体が横に移動するようになっており、
潜るドアが変わるだけで道は1本しかないのです。

巨大なマーラの顔の目からビームが出るシーンでは
ビームが天井に当たって天井が崩れる演出もあります。
勿論本当に天井が崩れているわけではなく、
天井に製氷器が設置されており、タイミングに合わせて氷が落下するという仕組みでした。

これらの要素は東京ディズニーシーに輸入した際には受け継がれませんでした。
ただ、どちらの要素もシステム的な不具合によって現在では行われなくなっているので
もしかしたら意図的に受け継がなかったのかもしれません…

その代わりに東京ディズニーシーインディ・ジョーンズ・アドベンチャーでは、
大広間の真ん中で竜巻が発生するような演出が新たに追加されました。
そして後半には石像の口から出す火炎放射がゲストに実際に当たるような演出も行われます。
この仕掛けは単純で、石像の口から出したスモッグを混ぜた空気に赤いライトアップをしているだけです。
子供の実験でよく使われるダンボールの空気砲と仕組みは同じなのですが、それを緊張感のある演出として組み込んでいるのがさすがディズニーです。

また、東京ディズニーシーインディ・ジョーンズ・アドベンチャーは駐車場跡地ではなく
パークの開園と同時にアトラクションを組み込むことができたので
アトラクション全体を巨大な遺跡のような外観にできました。

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"Crystal Skull Pyramid @TokyoDisneySea" by zayzayem is licensed under CC BY-SA 2.0

さて、最後に番外編として
恐竜が登場するインディ・ジョーンズ・アドベンチャーを紹介しておきましょう。
それがディズニー・アニマルキングダムというパークに存在するダイナソーというアトラクションです。

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"Disney's Animal Kingdom" by Roller Coaster Philosophy is licensed under CC BY 2.0

タイムマシンに乗って恐竜時代にタイムスリップするというアトラクションなのですが、
乗り物がインディー・ジョーンズ・アドベンチャーそっくりのジープ型であるどころか、乗り物の通るルートがインディ・ジョーンズ・アドベンチャーと全く同じなのです。
しかし乗り物の停止・加速のタイミングや内装を変更することによって全く違うアトラクションであるかのように作られています。

マーラを相手にした遺跡での冒険や、いつもとはちょっと違う恐竜世界の冒険。
機会があったら是非体験してみてくださいね!

「カントリーベア・シアター」の歴史について考えてみる #カンベアドベント #CountryBearAdvent

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"Country Bear Jamboree" by Sam Howzit is licensed under CC BY 2.0

ハウディ!こんばんは!
今回はユーキャンさん(@yuucanium)主催の「カンベアアドベントというイベントに参加させていただきました。

adventar.org


12月に毎日誰かしらがカントリーベア・シアターに関連した作品を上げるという企画で、
私は今回12/4を担当させていただきます。
様々な方が参加していますので、「#カンベアドベントもしくは「#CountryBearAdvent」で検索して他の方ものもの是非チェックしてみてくださいね!

さてさて、それでは今回の本題。
東京ディズニーランドウエスタンランドにある劇場にて
愉快な熊のバンドがカントリーミュージックを演奏するアトラクションが
「カントリーベア・シアター」です。
個性豊かな熊たちから
絶大な人気を誇るこちらのアトラクションですが
そもそも何で熊のバンドが演奏をしているのか
みなさんご存知ですか?
というわけで今回は
カントリーベア・シアター誕生の歴史について見ていこうと思います

多くのアトラクションがそうであったように
カントリーベア・シアターが誕生したきっかけとなったのは
東京ディズニーランドではありません。
東京ディズニーランドアメリカのディズニーランドを日本に持ってきたものだからです。
ではフロリダのウォルト・ディズニー・ワールド
いやそれも違う
カリフォルニアの初代ディズニーランド?
それも違う
実はカントリーベア・シアターは
元々ディズニーランドのアトラクションとして作られたものではなかったのです。

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"paradise valley, mineral king, kings canyon national park" by *1 is licensed under CC BY 2.0

そこで登場するのが
カリフォルニアに存在する「ミネラル・キング」という場所。
1960年、スコーバレー冬季オリンピックの開会式を務めたウォルト・ディズニー
スキーリゾートの建設に興味を持ちます。
その建設場所として選ばれたのがこのミネラル・キングでした。
しかしこのスキーリゾート案は自然を破壊すると地域住民からの猛反対を受け
結局実現に至ることはありませんでした。

そしてこのスキーリゾートにあるアトラクションの1つとして計画されたものこそが
現在の「カントリーベア・シアター」でした。
自然豊かなミネラル・キングに合わせて
バンドメンバーは全員熊のキャラクターでデザインされたのです。
この案はディズニーランドのアトラクションとして
受け継がれることになりました。

その後カントリーベア・シアターがアトラクションとして登場したのは
1971年のこと、
当時フロリダにオープンした「ウォルト・ディズニー・ワールド」の中の
「マジック・キングダム」というパークのアトラクションとして
「カントリーベア・ジャンボリー」がオープンしました。
(あれ?カントリーベア・シアターじゃないの?という話については、あとで解説します。)

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"Country Bear Jamboree Magic Kingdom Walt Disney World" by mrkathika is licensed under CC BY-SA 2.0

因みにウォルト・ディズニー・ワールドは今年50周年!
つまりカントリーベア・シアターも今年50周年!
まさしくカンベアイヤーという訳ですね。

ウォルト・ディズニー・ワールドのカントリーベア・ジャンボリーが大人気となったため
カリフォルニアの初代ディズニーランドにもカントリーベア・ジャンボリーが作られました。
ディズニーランドでは、カントリーベア・ジャンボリーがオープンするにあたり
新たに「ベアーカントリー」というエリアが作られました。

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画像出典:https://40.media.tumblr.com/9a1c2b8e92f8ecadfdef3cfc4c55f1ef/tumblr_ncccdeQyge1so6p7fo1_1280.jpg

このエリアはカントリーベア・ジャンボリーがメインとなっているエリアで、
熊たちをイメージしたプロップスが数多くあり
「ハングリーベア・レストラン」というレストランなんかもオープンしました。
後に作られた東京ディズニーランド
カントリーベア・ジャンボリーがオープンした際も
個別エリアとまではならなかったものの
ハングリーベア・レストラン等の施設がつくられました。

カントリーベア・シアターの物語はこれだけでは終わりません。
このアトラクションの特徴的なところは、季節によって演目が変わる様々なショーが行われることです。
それでは次に、カンベアの季節ショーの歴史について見ていきましょう。

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画像は東京ディズニーランドのジングルベル・ジャンボリーのもの
"Jingle Bell Jamboree, Country Bear Theater, Tokyo Disneyland" by yuichi.sakuraba is licensed under CC BY-NC 2.0

1984年には、カリフォルニアとフロリダの2つのパークで「カントリーベア・クリスマス・スペシャル」の公演が開始されました。
これが初めてのカンベアの期間限定バージョンとなります。
東京ディズニーランドではかなり遅れて1991年から「ジングルベル・ジャンボリー」の名でスタートしました。
また、この頃から東京ディズニーランドの通常バージョンが「カントリーベア・ジャンボリー」という演目という扱いになり、
アトラクション全体を指す呼称として「カントリーベア・シアター」が使われるようになりました。
正確にはジングルベル・ジャンボリーが初公演される少し前の1989年3月18日からカントリーベア・シアターの名が使われていたようです。

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画像は東京ディズニーランドのバケーション・ジャンボリーのもの
"Tokyo Aug 2010 - Country Bear Vacation Hoedown" by PeterPanFan is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

熊たちのバケーションをテーマにした「カントリーベア・バケーション・ホーダウン」は、1986年からカリフォルニアとフロリダの2つのパークで公演されました。
ただ、この演目は期間限定バージョンではなく通常バージョンと完全に置き換わる形で新たにスタートしたのです。
バケーションのカンベアは元々期間限定ではありませんでした。
これが1994年に東京ディズニーランドで「バケーション・ジャンボリー」として夏〜秋の期間限定公演としてスタート。
こうして東京ディズニーランド1年を通して3つの演目が公演されるカントリーベア・シアターが誕生したのです。

その後も現在まで東京ディズニーランドでは基本的にはこの方針が続けられていますが、
他のパークではその後もアトラクションが変化していきました。
まず1番最初にオープンしたフロリダのものでは
バケーション・ホーダウンは1992年に終了し、クリスマス・スペシャルもその後終了
2012年に大規模なメンテナンスがされ、その後通常バージョンを少し短縮したもののみを公演するようになりました。

そして「ベアーカントリー」という専用のエリアまでオープンしたカリフォルニアのものでは。
ベアーカントリーには1989年に「スプラッシュ・マウンテン」がオープンし、東京ディズニーランドにも存在するクリッターカントリーとなりました。

↓ベアーカントリーがクリッターカントリーになる経緯について詳しくは

mitukeymouse.hatenablog.com

2001年にはカントリーベア・ジャンボリー自体がクローズし、
跡地に人気映画「くまのプーさん」をテーマにしたアトラクション
「プーさんの冒険」がオープンしました。

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"Daily Disney - Hooray For Pooh!" by Express Monorail is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

ただし劇場型ではなく乗り物に乗るダークライドとして作られたため
アトラクションは建物はそのままに内部が大きく作り替えられることになりました。
クリッターカントリーにプーさんのアトラクションが存在するというのは
少し変な感じがするかもしれません。

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"Country Bear Jamboree" by Sam Howzit is licensed under CC BY 2.0

以上、「カントリーベア・シアター」の歴史について考えてみました。
結果として、現在も季節ごとの演目が行われているパークは
東京ディズニーランドのみとなっています。
まさにカンベアの聖地、東京ディズニーランド
そして先述したように
今年はカンベアが誕生してから50周年アニバーサリー!
何度も訪れているという方も、最近訪れていないなという方も、
カンベアイヤーを満喫しましょう!!

参考文献

*1:brian

「ワールドバザール」について考えてみる

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"World Bazaar" by J. Rob McC is licensed under CC BY-NC-SA 2.0

東京ディズニーランドの玄関口であるワールドバザール
パークに入る全てのゲストが訪れる場所で、
周りには20世紀初頭のアメリカを再現した
古き良き時代の商店街が立ち並んでいます。
また、このバザールは巨大なガラス屋根で覆われており、
悪天候も気にせずショッピングをすることができます。
実は世界5ヶ所にあるディズニーランドで
ワールド・バザールが存在するのは東京ディズニーランドだけといいうのはご存知でしたか?
今回は、そんなワールド・バザールについて考えてみようと思います。

先程、ワールドバザールが存在するのは東京ディズニーランドだけと言いましたが
それでは他のディズニーランドの玄関口には何があるのか?

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"Main Street, U.S.A." by s.yume is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

その答えがこちらの「メインストリートUSA」です。
メインストリートUSAはディズニーランドの入り口からお城までを結ぶ古き良き商店街という点は同じですが
ワールドバザールとは異なり巨大なガラス屋根で覆われてはいません。
むしろ「メインストリートUSAを巨大なガラス屋根で覆ったのがワールドバザールというのが正しいのかもしれません。

元々野晒しであったメインストリートを何故ガラス屋根で囲ったのか?
これは有名なのでご存知かもしれませんが
日本という悪天候になりやすい国柄に合わせたためです。
元々、初代ディズニーランドがオープンしたカリフォルニア州は晴れが多い地域で、
例えばコーヒーカップのアトラクションにも屋根が付けられていない程です。

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"Mad Tea Party, Fantasyland, Disneyland, Anaheim, California" by Ken Lund is licensed under CC BY-SA 2.0

しかし、日本は島国であり台風大国でもあります。
また、季節によっては大雪が降り積もることもあります。
カリフォルニアと同じメインストリートUSAではいつでもショッピングを楽しむことが難しいため
悪天候を遮り、かつ晴れている日には日差しを通せる巨大なガラス屋根によって覆われているのです。

因みに、ワールドバザールが存在するのは東京ディズニーランドだけと言いましたが、
メインストリートUSAのある全てのパークが天候が良い訳ではありません。
例えば、フランスにある「ディズニーランド・パリ」
東京ディズニーランドと同じく雨も雪も降ります。
そのためディズニーランド・パリのメインストリートUSAの店舗裏には
悪天候でも通り抜けができるための通り道が用意されています。

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"Discovery Arcade - Disneyland Paris" by wrayckage is licensed under CC BY 2.0

メインストリートUSAはアメリカの古き良き時代の商店街をテーマにしたエリアで、
ワールドバザールはさらに巨大なガラス屋根で覆ったもの。
ここまでの話をまとめるとこうなりますが、
少しおかしいと思いませんか?
ワールドバザール「ワールド」バザールなのに
アメリカの街並みを表現したエリア…?
ガラス屋根をつけただけならメインストリートUSAのままでいいのでは?
実はワールドバザール元々世界の国々をテーマにした商店街になる予定でした。

www.pinterest.jp

こちらはワールドバザールの初期のコンセプトアート。
巨大なガラス屋根で覆われているところは同じですが
様々なマークや「ITALIA」などの国の名前が描かれているのがわかると思います。
このように、ワールドバザールは最初
本当に世界をテーマにしたバザールになる予定でした。
しかし日本側は、東京ディズニーランドにへたにオリジナリティを出すより
あくまでディズニーランドが日本にやってきたものであることを望みました。
結果、アメリカの古き良き街並みはそのままで
巨大なガラス屋根ワールドバザールという名前のみが残ったのです。

ここまでワールドバザールはガラス屋根が付いている以外はメインストリートUSAと同じものというように話してきましたが、
実はそれ以外にも違いがあります。
その中でも明確なものが道の途中から他のエリアに出られるということ。

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"Tokyo Disneyland Resort" by coconut wireless is licensed under CC BY-ND 2.0

ワールドバザールから入り口からまっすぐ進めば、
奥にシンデレラ城が見える「プラザ」という広場に出ることができます。
しかし道の半分辺りにある脇道を進むと、
右に行けばトゥモローランド、左に行けばアドベンチャーランドというエリアに行くことができます。
当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、
メインストリートUSAではこれができません。
道の途中に脇道は存在するのですが行き止まりとなっており、
一度プラザまで進まなければどのエリアにも行けないようになっています。

実はメインストリートUSAのこうした構造にはちゃんとした意味があり、
一度城前の広場であるプラザまで来ることによって
そこから自分が行きたい好きなエリアを選ぶことができるという構造になっているのです。
この話については、過去に「世界のディズニーランドの「城」について考えてみる」という記事で触れました。

mitukeymouse.hatenablog.com

しかしワールドバザールのように途中で通り抜けできれば便利です。
個人的な感想ですが、東京ディズニーランドは他にも通行に便利なように設計されていると思う箇所がいくつかあります。
これらについてはまた別の機会にお話ししましょう。

さて、最後に最新のワールドバザールについて紹介しようと思います。
それが中国の上海ディズニーランドに存在する
「ミッキー・アベニュー」です。

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"from Adventure Isle side of Mickey Avenue looking in Tomorrowland direction" by coconut wireless is licensed under CC BY-ND 2.0

上海ディズニーランドは中国人向けに作られたディズニーランドで、
元々ディズニーランドにあったアメリカ的な要素がかなり排除されました。
その結果、メインストリートの街並みはアメリカの商店街ではなく
ミッキーや仲間達の店が並ぶ商店街となったのです。

以上、ワールドバザールについて考えてみました。
普段で入り口として通り過ぎてしまうかもしれないワールドバザールですが、
たまにはゆっくりと散策してみるのも面白いかもしれません。

参考文献

「3D映像」アトラクションについて考えてみる・後編

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"Mickey’s PhilharMagic - Tokyo Disneyland" by of other days is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

前回、ディズニーパーク65年の歴史の間に登場した
3D映像シアターアトラクションについて振り返り
その最新のものが2003年にオープンした
「ミッキーのフィルハーマジック」であるということまでをお話ししました。
あれだけ沢山作られた3D映像シアターアトラクションが
どうして作られなくなってしまったのか?
今回はその理由について見ていきましょう。

↓前編はこちら!

mitukeymouse.hatenablog.com

新作の3D映像が作られないからといって
以前の3D映像が延々と上映されているわけではありません。
例えば、東京ディズニーランドでは
前回紹介された「キャプテンEO」が
2014年に2回目の公演が終了した後、
跡地には「スティッチ・エンカウンター」がオープンしました。

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スティッチ・エンカウンターは画面上のスティッチとお話ができるアトラクションで
スティッチのトークは毎回違うものになるため
訪れるたびに違った体験が味わえます。
映像タイプのアトラクションの課題であった
毎回同じ映像を見せられる
という点を改良したアトラクションへと変更されました。

キャプテンEOは世界4ヵ国で上映されていました
それでは、他の国のキャプテンEOはどうなったのでしょう?
例えば、カリフォルニアのディズニーランドのものは
スター・ウォーズ:パース・オブ・ジェダイとなりました。

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"Disneyland" by Roller Coaster Philosophy is licensed under CC BY 2.0

こちらは当時公開が予定されていたスター・ウォーズの新3部作のため
旧6作品の内容を振り返ることができるアトラクション。
要するに映画宣伝用のアトラクションでした。

一方、フロリダのキャプテンEO
「ディズニー&ピクサー・ショート・フィルム・フェスティバル」となりました。

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画像出典:Disney & Pixar Short Film Festival - Epcot

こちらはディズニーやピクサー
今まで製作された短編アニメを見ることができるシアター
要するになんでもシアターです。
ただ、当時3D映像で公開された映画を
再び3D映像で見ることができるなどの利点はありますが…

そしてフランスのディズニーランド・パリにあったキャプテンEO
こちらはスター・ウォーズ:パース・オブ・ジェダイとなり
その後「ディズニー&ピクサー・ショート・フィルム・フェスティバル」となり
現在は「ミッキーのフィルハーマジック」になっています。
もうめちゃくちゃです
シアターを持て余しているなということがわかっていただけたと思います。
一体何故こんなことになってしまっているのか
これは個人的な考察ですが、
もうシアタータイプのアトラクション自体が時代遅れとなってしまっている気がします。

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"100701 Tokyo Disneyland 'Captain EO'" by ナギ (nagi) is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

先述したように、シアタータイプのアトラクションの最大の欠点は
毎回同じ映像のため飽きられるのが早いということです。
多くの労力をかけて作られた映像でも
10年も経てば殆ど飽きられてしまいます。
そのため、「スティッチ・エンカウンター」や「タートルトーク」といった
キャラクターと毎回違ったコミュニケーションができる
というアトラクションに置き換えられることが多く
シアターアトラクションの新しい形となっています。

また、3D映像で言えば
既に3D映像を使用した数多くの映画が一般に公開されており
小さめの遊園地や劇場でも行われているため
アトラクションとして置くほどのものではなくなっているということもあります。
こうした理由から
3D映像シアターアトラクションの新作が作られることは
ほとんど無いのではないかと思われます。

しかし、パークから3D映像が消えてしまったかというと
そんなことはありません。

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"Thank You for Everyone Special Night with AKB48 in Tokyo DisneySea: Toy Story Mania!" by Dick Thomas Johnson is licensed under CC BY 2.0

2008年にオープンしたトイ・ストーリー・マニア!」では
大砲が付けられた乗り物から狙う的が映るディスプレイに
3D映像が使われました。
それにより的が当たった時に手前に飛び出してきたり
立体的にゲームが変化するなどの
幅広い表現が可能になりました。
2021年にオープンした「ウェブスリンガーズ:スパイダーマン・アドベンチャーでは
この技術がさらに応用され、
自分の腕から糸が出ているかのような感覚や
ライドが様々な部屋を移動している感覚が味わえるようになりました。

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"Star Tours: The Adventures Continue at Tokyo Disneyland" by insidethemagic is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

2011年にオープンしたスター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニューでは、
既存のシミュレーションライドシステムに
新たに3D映像が追加され
よりリアルな宇宙飛行を体験できるようになりました。
このシステムは2017年にオープンした「アイアンマン・エクスペリエンス」にも
受け継がれることになりました。

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"Ratatouille" by Joe Shlabotnik is licensed under CC BY-NC-SA 2.0

極め付けはこれ!
2014年にオープンしたレミーのおいしいレストラン:ザ・アドベンチャーでは
乗り物に乗るアトラクションの各所に巨大なスクリーンを設置し、
それらに3D映像を写すことで
3D映像と現実の乗り物がリンクした体験を実現しました。
このアトラクションはかなり好評で
経営難であったディズニーランド・パリの大きな力となったことは
以前こちらの記事でお話ししました。

mitukeymouse.hatenablog.com

これらのように、3D映像は
他のシステムと組み合わせることで新たな体験を生み出せるとして
現在でも世界のディズニーパークで重宝されています。

しかし、もう従来の3Dシアターアトラクションは本当になくなってしまうのか?
最後に少しだけその話をしておきましょう。

disneyparks.disney.go.com

2021年7月、
カリフォルニアのディズニーランドとディズニーランド・パリの
2つのミッキーのフィルハーマジックがリニューアルされ、
映像の一部に映画「リメンバー・ミー」のシーンが追加されました。
このリニューアルはウォルト・ディズニー・ワールドでも11月に行われる予定で、
東京ディズニーランドで行われるかは未定です。

現在はリメンバー・ミーのシーンの追加のみですが
今後様々な作品の映像が追加され
それらがランダムで入れ替わるようになれば
「同じ映像なので飽きられやすい」という欠点も解消するかもしれません。
今後の3D映像アトラクションにも期待が高まるばかりです。

「3D映像」アトラクションについて考えてみる・前編

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"Mickey’s PhilharMagic - Tokyo Disneyland" by of other days is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

ディズニーパークのアトラクションとして昔から存在し
数多くのアトラクションで使用されているものの中に
「3D映像」があります。
専用のメガネをつけることで、
スクリーンに映された映像が飛び出して見えるというもので
世界が広がったかのような奥行きや
キャラクターが目の前に飛び出してきたかのような感覚を味わうことができます。
今回はこのディズニーパークと3D映像の
歴史と関係性について見ていこうと思います。

ディズニーの3D映像の歴史は
実はディズニーパークの歴史より古くからあります。
一番最初の3D映像作品である「メロディ」が制作されたのは
世界初のディズニーパークである「ディズニーランド」が開園する
1955年より2年前の1953年

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画像出典:Adventures in Music: Melody (film) - D23

この作品は再編集され、
ディズニーランドでも「3Dジャンボリー」として
1956年から公演されました。
ただ、当時は専用のメガネをかけてみる映画というものが斬新すぎて
当時のゲストにはなかなか受け入れてもらえなかったようです。

それから、次の3D映像がディズニーパークに登場したのは
25年以上も先のこと、
1982年にフロリダのエプコットというパークで
「マジック・ジャーニー」がオープンしました。

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画像出典:Magic Journeys 3D Film Opens at Tokyo Disneyland - D23

メロディがアニメーションだったのに対して
マジック・ジャーニーは実写映像で作られまいた。
「子供の想像力」がテーマになっており、
浜辺で遊んでいる子供達の映像が次々と移り変わり
様々な楽しい世界を冒険することができました。
このアトラクションは後にカリフォルニアのディズニーランドや
東京ディズニーランドでもオープンしました。

ここまで3D映像のアトラクションといえば
あくまで様々な景色を3D映像で巡るものでしたが
これが大きく変わったのは
1986年にキャプテンEOがオープンしてからでした。

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"Captain Eo is back." by Mike Monteiro is licensed under CC BY-NC-SA 2.0

キャプテンEO
監督フランシス・フォード・コッポラ
制作総指揮ジョージ・ルーカス
主演マイケル・ジャクソン
という、ハリウッドの豪華スタッフにより製作され
膨大な製作費をかけた超豪華ミュージックビデオとして作られました。

3Dで表現される
宇宙飛行やアクションの迫力は
これまでの3D映像のイメージを覆すと共に
多くの若者を惹きつけました。
また、上映中は映像に合わせて
煙やレーザーなどの特殊効果による演出が行われ
シアター全体を通して映像を演出していました。

2009年に主演のマイケル・ジャクソンが亡くなった際には
当時キャプテンEOが行われたパーク全てで
再びキャプテンEOが復活しました。
この復活は当初短期間のみの予定でしたが
反響が良かったため、2015年頃まで行われました。

このキャプテンEOの登場を皮切りに
様々な趣向を凝らした
3D映像アトラクションが登場するようになりました。

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"Muppet Vision 3D" by dawnzy58 is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

1991年にオープンしたマペット・ビジョン3D」
有名な人形作品「マペット」をテーマにしたアトラクションで、
水、シャボン玉、壁や天井への映像投影など
数多くの特殊効果が特徴で
現実と映像がリンクしているかのような体験が味わえます。

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"Honey, I Shrunk The Audience" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

1994年にオープンした「ミクロアドベンチャー!」
映画「ミクロキッズ」をテーマとしたアトラクションで
発明の授賞式に訪れたゲストが
発明品の誤操作により様々な被害に遭い
最後にはミクロサイズにまで縮められてしまうというものでした。
授賞式全体がスクリーンに映され
実際に会場で授賞式が行われているかのような視点で終始ショーが行われるという
斬新な手法を取った3D映像アトラクションでした。

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"Hopper at It's Tough To Be A Bug" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

1998年にオープンした「イッツ・タフ・トゥー・ビー・ア・バグ!」
映画「バグズ・ライフ」をテーマにしたアトラクションで
初のCGを使用した3D映像作品となりました。
ゲストが虫の大きさになって虫たちのそれぞれの特技を見るというショーで、
途中、スクリーンの横から現実に凶悪なバッタの「ホッパー」が登場。
スクリーンの虫と現実の虫がやりとりをし、
3D映像と現実が交差するような演出が特徴です。
ただの映像だと思っていると痛い目を見る、恐ろしいアトラクションです。

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"Exploring the Arabian Coast" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

2001年にオープンした「マジックランプシアター」
映画「アラジン」のランプの魔神「ジーニー」が登場するアトラクション。
これまで映像と現実の演出をリンクさせたアトラクションはありましたが
マジックランプシアターには演者によるキャラクターが登場し
実際にショーを行いながら3D映像のキャラクターとの交流を行います。
3D映像による迫力と、演者によるトークを合体させたアトラクションとなっています。

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"Mickey’s PhilharMagic - Tokyo Disneyland" by of other days is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

2003年にオープンした「ミッキーのフィルハーマジック」
ディズニーの看板であるミッキーや
有名なディズニー作品をテーマにしたアトラクション。
ミッキーの魔法の帽子をドナルドが勝手にいじったことにより
ゲストはドナルドと共にディズニー映画の世界へと巻き込まれてしまいます。
クラシックのディズニー作品が3D映像で表現され
3Dならではの没入感で新鮮な体験をすることができます。

以上。
ディズニーパークの3D映像シアターアトラクションの歴史を見ていきました。
え、終わり?
最後に紹介したミッキーのフィルハーマジックでさえ
もう15年以上前のアトラクションだけど?
…そうなんです
実はミッキーのフィルハーマジック以来
未だに新しい3D映像シアターアトラクションは製作されていないのです。
何故3D映像シアターアトラクションは作られなくなってしまったのか?
ディズニーパークと3D映像の未来とは?
それらについては、また次のブログでお話ししましょう。

参考文献

「エプコット」とは何かについて解説してみる

皆さんエプコットって知ってますか?
知らない?いえいえ、結構です。
知ってる人もディズニー関係の何かとしか分からない人もいるかもしれません
というわけで今回は、そんな「エプコット」とは何か
なるべく分かりやすく解説しようと思います

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"File:1 epcot spaceship earth 2010a.JPG" by chensiyuan is licensed under CC BY-SA 4.0

こちらがそのエプコットとなります。
中心に巨大な球体の建物が見えると思いますが
この建物、なんと東京ディズニーランドのシンデレラ城とほぼ同じ高さがあります。
この球体はエプコットのパークアイコンである「スペースシップ・アース」で、
「エプコット」とはディズニーパークの名前なのです。
場所はアメリカ合衆国フロリダにある
巨大ディズニーリゾートウォルト・ディズニー・ワールド
その中にある4つのテーマパークのうちの1つが「エプコット」です

ディズニーパークといえば数々のエリアで構築されているのが特徴です
東京ディズニーランドでいえばワールドバザールファンタジーランドトゥモローランドなどなど……
対してエプコットは大きく分けて2つのエリアに分かれています。

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"Floral Teal" by rocket2722 is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

1つは未来をテーマにしたエリア。
以前は「フューチャー・ワールド」という1つのエリアでしたが、
現在は
「ワールド・ディスカバリー
「ワールド・セレブレーション」
「ワールド・ディスカバリー
という3つのエリアに分かれています。
未来の技術や仮想の未来世界をテーマにしたエリアで、
先述の「スペースシップ・アース」を筆頭に
地球をテーマにした「ランド館」
想像力をテーマにした「イマジネーション館」
宇宙をテーマにした「ミッション:スペース館」のように
様々な「パビリオン」と呼ばれる巨大な建物が存在するエリアとなっています。

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"Disney World EPCOT World Showcase Lagoon" by Eje Gustafsson is licensed under CC BY 2.0

もう1つは世界各国をテーマにした「ワールド・ショーケース」
中心の巨大な湖「ワールド・ショーケース・ラグーン」を中心に、
日本館、フランス館、ドイツ館、ノルウェー館、メキシコ館と
実に11ヵ国ものパビリオンが存在します。
パビリオンは「ワールド・ショーケース・ラグーン」という
巨大な湖の周りを囲むように存在しており
まるで海の周りの実際の国々のようになっています。

パークのエリアが「未来」と「世界」だったり
それぞれの建物が「パビリオン」と呼ばれていたりと
かなり異質なディズニーパークであるエプコット。
他のどの国にもないこのパークの誕生には
ディズニーの父、ウォルト・ディズニーの最後の夢が関係したいました…

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"Sleeping Beauty Castle" by HarshLight is licensed under CC BY 2.0

1955年、初めてのディズニーパークである「ディズニーランド」を作り上げたウォルト・ディズニー
それから5年程経ち、ディズニーランドの経営も安定してきた頃
ウォルトはディズニーランドをフロリダにも建設しようと考えていました。
しかし同じもののコピーを作るわけではありません。
ウォルト・ディズニー同じことを2度もやるのは嫌いな人でしたから
フロリダのディズニーランドはもっと違うものにしようと考えていました。

ウォルトは開発用地として、フロリダの土地を「約110km²」も買い上げました。
約110km²と聞いてもどのくらいの大きさなの実感が湧かないかも知れませんが
例えば東京ディズニーリゾート全体の面積は「約2km²」です
東京ディズニーリゾート約55倍の広さを買い占めたのですから
ディズニーパークを1つ作るためだけではなかったのは想像できると思います。
買い占めはディズニー以外の会社名義で極秘に行われたため
当時はいろんな噂が飛び交ったんだとか。

ウォルト・ディズニーはそんな広大な土地で何をしようとしていたのか?
それは都市計画でした。

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"Epcot model along the Peoplemover route" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

都市計画ですから、もちろん都市を作ろうとしていたのです。
広大な土地の買収は都市を建設するためでした。
フロリダのディズニーランドは、この都市の端にある
レジャー施設として予定していました。
しかしこの都市が実現することはありませんでした。
この都市計画が発表されてすぐ、ウォルト・ディズニーが亡くなったのです。
リーダーを失った後、都市計画の実行は困難となり
広大な土地には巨大ディズニーリゾートが建設されました
それが現在のウォルト・ディズニー・ワールドです

そして、その都市計画はこう呼ばれていました
「Experimental Prototype Community of Tomorrow」
意訳すると「実験的未来都市」
それらの頭文字をとって「EPCOT」
そう!エプコットです!
エプコットというこの不思議な名前は、
ウォルト・ディズニーが描いた計画都市の名前から取られたものなのです。
そして最新技術と世界の文化という要素を都市計画から取り出し
新たなディズニーパークを作り上げたのです。
なお、エプコットは開園当初「エプコット・センター」とい名で
ウォルトの理想であった都市エプコットの
その中心(センター)のテーマパークという意味が込められていました。

そんなエプコットですが、1982年にオープンしてから今日まで
多くのアップデートを遂げてきました。

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"Test Track - Epcot" by myfrozenlife is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

例えば、テストトラック」というアトラクションでは、
自動車の性能テストを自動車に乗りながら体験できます。
テストではハンドリング性や温度の耐久性をチェックし
最後には速度テストで時速100kmで駆け抜けます。
また、オリジナルの自動車を設計することができ
設計した自動車の性能をテストすることも可能です。

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"Disney World: Epcot - Norway Pavilion - Frozen ever after" by wallyg is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

ワールド・ショーケースのノルウェー館にある
「フローズン・エバー・アフターというアトラクションでは
ディズニー映画「アナと雪の女王」に登場するキャラクターが最新技術で表現され
神秘的な雪の世界を案内してくれます。

以上、エプコットについて解説していきました。
エプコットがどんなパークかについてはお分かりいただけましたでしょうか?
それぞれのエリア、その中にあるパビリオンなど
どれも面白いものばかりですので
それらについてもまたブログでお話しできたらと思います。

参考文献

「タワー・オブ・テラー」の歴史について考えてみる・後編

前回、タワー・オブ・テラーというアトラクションの誕生までを見ていきました。
その後他のディズニーパークにも作られたタワー・オブ・テラー
アトラクションの形やテーマが大きく変更されることになりました。
今回はそんなタワー・オブ・テラーの世界展開とその後の歴史を見ていこうと思います

↓前編はこちら!

mitukeymouse.hatenablog.com

さて、その前にまず
前回触れたトワイライト・ゾーンタワー・オブ・テラー
もう一度おさらいしておきましょう

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"Disney - Hollywood Tower Hotel at Night" by Express Monorail is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

前面が高い建物となっており、
それ以外は直方体のような形になっています。
こんな形状になっている理由は
前回お話ししたように
エレベーターに乗ったまま前に進むというシーンがあるためです。
対して東京ディズニーシータワー・オブ・テラーは…?

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"Tower of Terror" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-NC-ND 2.0<

建物の高い部分が後方に移動し
エレベーターが前へと移動するシーンが無くなりました。
また手前の建物はかなり低めになり
頂上には横に突起物が付いたり
かなり形状が異なることが分かります。
なぜアトラクションの形が変わったのか?
…と、その話をする前に
実は最初は東京ディズニーシータワー・オブ・テラー
ディズニー・ハリウッド・スタジオのものと
同じ形になる予定だったという話があるのです。

www.pinterest.jp

こちら、東京ディズニーシーの初期のコンセプトアート
右下の現在タワー・オブ・テラーをよく見ると…
前面が高い、ディズニー・ハリウッド・スタジオと同じタイプのタワー・オブ・テラーが描かれています。
しかしデザインは大きく異なるため、全く同じものではなかったと伺えます。

東京ディズニーシータワー・オブ・テラーと同じ形のものが登場したのは
2004年のこと
ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーというパークに
新たにトワイライト・ゾーンタワー・オブ・テラーが作られた時でした。

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"Disney California Adventure 079" by Roller Coaster Philosophy is licensed under CC BY 2.0

どうでしょう?
皆さんのよく知るタワー・オブ・テラー
随分近い形をしていると思います。
大筋のストーリーはディズニー・ハリウッド・スタジオのものと
ほとんど変わっていませんが、
エレベーターが前に進むシーンが消去され、
その代わり激しく上下するエレベーターの数が2つから3つに増え
より多くのゲストが楽しめるようになりました。
この多くのゲストが楽しめる形になった
タワー・オブ・テラー
東京ディズニーシーにも受け継がれることになったのです。

東京ディズニーシータワー・オブ・テラー
2006年にオープンしました

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"Tower of Terror" by sanctumsolitude is licensed under CC BY-NC 2.0

東京ディズニーシータワー・オブ・テラーが存在するエリアは
アメリカンウォーターフロント」というエリアの中の
20世紀初頭のニューヨークをテーマにしたエリアとなっています。
元々のタワー・オブ・テラーのコンセプトの
黄金時代のハリウッドとはかなり異なります。
また、トワイライトゾーンアメリカでは
何度もリメイクされているほどの有名ドラマですが
日本ではそれほど知名度はありません。

そこで、強欲な富豪「ハイタワー三世」と
呪いの偶像「シリキ・ウトゥンドゥ」というキャラクターを作り出し
呪いの偶像の力で主人が失踪したホテルを
ゲストがツアーとして訪れるというストーリーが誕生したのです。

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"Portrait, Tower of Terror, Tokyo Disney Sea, Tokyo Disney Resort, Chiba, Tokyo, Japan" by gruntzooki is licensed under CC BY-SA 2.0

因みに失踪したホテルの主人である「ハイタワー三世」。
実はモデルがいます。
それはディズニーパークのアトラクションを生み出している
ウォルト・ディズニーイマジニアリング」に過去に所属していた
「ジョー・ロード」という方
元々、彼の顔はホテルの外壁の顔の彫刻のデザインとして採用されました。
しかし彼の顔はアトラクションの至る所に描かれることになり
最終的にはアトラクションの登場キャラクターのモデルにまでなってしまったようです。
そしてアトラクションのオープン前には
日本に訪れて「ハイタワー三世」役として
CM撮影にも参加したんだとか。

www.youtube.com

このように晴れて東京ディズニーシーにオープンしたタワー・オブ・テラーですが、
タワー・オブ・テラーの世界進出はまだまだ止まりません。

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"Twilight Zone Tower of Terror" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-ND 2.0

2007年には、フランスのディズニーパーク
ウォルト・ディズニー・スタジオ・パーク」にも
トワイライトゾーンタワー・オブ・テラー」がオープンしました
一見ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーのものと全く同じに見えますが
いえいえ、よーく見てください
実は先程のものがコンクリートで作られているのに対し
こちらはなんと石造りで作られているのです!

……いや失礼、そうです全く同じです。
ただ、フランスのものは2019年にリニューアルがされ、
トワイライト・ゾーンタワー・オブ・テラー - ア・ニュー・ディメンション・オブ・チル」
となりました。名前長い。
このリニューアルでは3つのストーリーがランダムで選ばれ、
より恐怖感の強い体験が味わえるようになりました。
また、このリニューアルがされた後にエレベーターで響き渡る笑い声が
東京ディズニーシータワー・オブ・テラーに登場する
あのシリキ・ウトゥンドゥにそっくりと一時期話題にもなりましたが
関係性は現在でも不明なままです。

さてさて、タワー・オブ・テラーがここまで世界進出した魅力は
最恐の恐怖体験と共に
高所からエレベーターで落下するスリルが味わえることでした。
しかしその法則が崩れる出来事が起きました。

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"GOTG ride" by Alex.R.D is licensed under CC BY 2.0

もう名前もデザインも
テーマ性すらも何もかも違いますが
これも一応紹介しておこうと思います。
先述したディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー
トワイライトゾーンタワー・オブ・テラーをリニューアルして作られました。

マーベル作品の映画「ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー」がテーマになっており、
ストーリーを映画を知らない人にも分かるように説明すると
宇宙のヒーロー集団、ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシーのメンバーが
宇宙中のものを収集している「コレクター」に捕まってしまい
コレクターの要塞を訪れたゲストが脱出のために協力するのですが
トラブルでゲストの乗ったエレベーターが暴走するというものになっています。

今までタワー・オブ・テラーといえば
恐怖体験をテーマとしたものが主でしたが、
こちらはストーリーからも分かるように
ハチャメチャなギャグテイストなアトラクションとなっており
上昇下降中にはアメリカの70年代のヒットソングが流れ
ノリノリで楽しむようなテイストとなっています。

以上、「タワー・オブ・テラー」の歴史について考えてみる
主軸となる「エレベーターで激しく上昇落下を繰り返す」という
大元のコンセプトはそのままに
様々な体験を味合わせてくれるタワー・オブ・テラー
これからもどんな体験を見せてくれるのか楽しみです。

www.tokyodisneyresort.jp