「3D映像」アトラクションについて考えてみる・後編
前回、ディズニーパーク65年の歴史の間に登場した
3D映像シアターアトラクションについて振り返り
その最新のものが2003年にオープンした
「ミッキーのフィルハーマジック」であるということまでをお話ししました。
あれだけ沢山作られた3D映像シアターアトラクションが
どうして作られなくなってしまったのか?
今回はその理由について見ていきましょう。
↓前編はこちら!
新作の3D映像が作られないからといって
以前の3D映像が延々と上映されているわけではありません。
例えば、東京ディズニーランドでは
前回紹介された「キャプテンEO」が
2014年に2回目の公演が終了した後、
跡地には「スティッチ・エンカウンター」がオープンしました。
スティッチ・エンカウンターは画面上のスティッチとお話ができるアトラクションで
スティッチのトークは毎回違うものになるため
訪れるたびに違った体験が味わえます。
映像タイプのアトラクションの課題であった
毎回同じ映像を見せられる
という点を改良したアトラクションへと変更されました。
キャプテンEOは世界4ヵ国で上映されていました
それでは、他の国のキャプテンEOはどうなったのでしょう?
例えば、カリフォルニアのディズニーランドのものは
「スター・ウォーズ:パース・オブ・ジェダイ」となりました。
こちらは当時公開が予定されていたスター・ウォーズの新3部作のため
旧6作品の内容を振り返ることができるアトラクション。
要するに映画宣伝用のアトラクションでした。
一方、フロリダのキャプテンEOは
「ディズニー&ピクサー・ショート・フィルム・フェスティバル」となりました。
こちらはディズニーやピクサーの
今まで製作された短編アニメを見ることができるシアター
要するになんでもシアターです。
ただ、当時3D映像で公開された映画を
再び3D映像で見ることができるなどの利点はありますが…
そしてフランスのディズニーランド・パリにあったキャプテンEO
こちらは「スター・ウォーズ:パース・オブ・ジェダイ」となり
その後「ディズニー&ピクサー・ショート・フィルム・フェスティバル」となり
現在は「ミッキーのフィルハーマジック」になっています。
もうめちゃくちゃです
シアターを持て余しているなということがわかっていただけたと思います。
一体何故こんなことになってしまっているのか
これは個人的な考察ですが、
もうシアタータイプのアトラクション自体が時代遅れとなってしまっている気がします。
先述したように、シアタータイプのアトラクションの最大の欠点は
毎回同じ映像のため飽きられるのが早いということです。
多くの労力をかけて作られた映像でも
10年も経てば殆ど飽きられてしまいます。
そのため、「スティッチ・エンカウンター」や「タートルトーク」といった
キャラクターと毎回違ったコミュニケーションができる
というアトラクションに置き換えられることが多く
シアターアトラクションの新しい形となっています。
また、3D映像で言えば
既に3D映像を使用した数多くの映画が一般に公開されており
小さめの遊園地や劇場でも行われているため
アトラクションとして置くほどのものではなくなっているということもあります。
こうした理由から
3D映像シアターアトラクションの新作が作られることは
ほとんど無いのではないかと思われます。
しかし、パークから3D映像が消えてしまったかというと
そんなことはありません。
2008年にオープンした「トイ・ストーリー・マニア!」では
大砲が付けられた乗り物から狙う的が映るディスプレイに
3D映像が使われました。
それにより的が当たった時に手前に飛び出してきたり
立体的にゲームが変化するなどの
幅広い表現が可能になりました。
2021年にオープンした「ウェブスリンガーズ:スパイダーマン・アドベンチャー」では
この技術がさらに応用され、
自分の腕から糸が出ているかのような感覚や
ライドが様々な部屋を移動している感覚が味わえるようになりました。
2011年にオープンした「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」では、
既存のシミュレーションライドシステムに
新たに3D映像が追加され
よりリアルな宇宙飛行を体験できるようになりました。
このシステムは2017年にオープンした「アイアンマン・エクスペリエンス」にも
受け継がれることになりました。
極め付けはこれ!
2014年にオープンした「レミーのおいしいレストラン:ザ・アドベンチャー」では
乗り物に乗るアトラクションの各所に巨大なスクリーンを設置し、
それらに3D映像を写すことで
3D映像と現実の乗り物がリンクした体験を実現しました。
このアトラクションはかなり好評で
経営難であったディズニーランド・パリの大きな力となったことは
以前こちらの記事でお話ししました。
これらのように、3D映像は
他のシステムと組み合わせることで新たな体験を生み出せるとして
現在でも世界のディズニーパークで重宝されています。
しかし、もう従来の3Dシアターアトラクションは本当になくなってしまうのか?
最後に少しだけその話をしておきましょう。
2021年7月、
カリフォルニアのディズニーランドとディズニーランド・パリの
2つのミッキーのフィルハーマジックがリニューアルされ、
映像の一部に映画「リメンバー・ミー」のシーンが追加されました。
このリニューアルはウォルト・ディズニー・ワールドでも11月に行われる予定で、
東京ディズニーランドで行われるかは未定です。
現在はリメンバー・ミーのシーンの追加のみですが
今後様々な作品の映像が追加され
それらがランダムで入れ替わるようになれば
「同じ映像なので飽きられやすい」という欠点も解消するかもしれません。
今後の3D映像アトラクションにも期待が高まるばかりです。