「ワールドバザール」について考えてみる
東京ディズニーランドの玄関口である「ワールドバザール」
パークに入る全てのゲストが訪れる場所で、
周りには20世紀初頭のアメリカを再現した
古き良き時代の商店街が立ち並んでいます。
また、このバザールは巨大なガラス屋根で覆われており、
悪天候も気にせずショッピングをすることができます。
実は世界5ヶ所にあるディズニーランドで
ワールド・バザールが存在するのは東京ディズニーランドだけといいうのはご存知でしたか?
今回は、そんなワールド・バザールについて考えてみようと思います。
先程、ワールドバザールが存在するのは東京ディズニーランドだけと言いましたが
それでは他のディズニーランドの玄関口には何があるのか?
その答えがこちらの「メインストリートUSA」です。
メインストリートUSAはディズニーランドの入り口からお城までを結ぶ古き良き商店街という点は同じですが
ワールドバザールとは異なり巨大なガラス屋根で覆われてはいません。
むしろ「メインストリートUSAを巨大なガラス屋根で覆ったのがワールドバザール」というのが正しいのかもしれません。
元々野晒しであったメインストリートを何故ガラス屋根で囲ったのか?
これは有名なのでご存知かもしれませんが
日本という悪天候になりやすい国柄に合わせたためです。
元々、初代ディズニーランドがオープンしたカリフォルニア州は晴れが多い地域で、
例えばコーヒーカップのアトラクションにも屋根が付けられていない程です。
しかし、日本は島国であり台風大国でもあります。
また、季節によっては大雪が降り積もることもあります。
カリフォルニアと同じメインストリートUSAではいつでもショッピングを楽しむことが難しいため
悪天候を遮り、かつ晴れている日には日差しを通せる巨大なガラス屋根によって覆われているのです。
因みに、ワールドバザールが存在するのは東京ディズニーランドだけと言いましたが、
メインストリートUSAのある全てのパークが天候が良い訳ではありません。
例えば、フランスにある「ディズニーランド・パリ」は
東京ディズニーランドと同じく雨も雪も降ります。
そのためディズニーランド・パリのメインストリートUSAの店舗裏には
悪天候でも通り抜けができるための通り道が用意されています。
メインストリートUSAはアメリカの古き良き時代の商店街をテーマにしたエリアで、
ワールドバザールはさらに巨大なガラス屋根で覆ったもの。
ここまでの話をまとめるとこうなりますが、
少しおかしいと思いませんか?
ワールドバザールは「ワールド」バザールなのに
アメリカの街並みを表現したエリア…?
ガラス屋根をつけただけならメインストリートUSAのままでいいのでは?
実はワールドバザールは元々世界の国々をテーマにした商店街になる予定でした。
こちらはワールドバザールの初期のコンセプトアート。
巨大なガラス屋根で覆われているところは同じですが
様々なマークや「ITALIA」などの国の名前が描かれているのがわかると思います。
このように、ワールドバザールは最初
本当に世界をテーマにしたバザールになる予定でした。
しかし日本側は、東京ディズニーランドにへたにオリジナリティを出すより
あくまでディズニーランドが日本にやってきたものであることを望みました。
結果、アメリカの古き良き街並みはそのままで
巨大なガラス屋根と「ワールドバザール」という名前のみが残ったのです。
ここまでワールドバザールはガラス屋根が付いている以外はメインストリートUSAと同じものというように話してきましたが、
実はそれ以外にも違いがあります。
その中でも明確なものが道の途中から他のエリアに出られるということ。
ワールドバザールから入り口からまっすぐ進めば、
奥にシンデレラ城が見える「プラザ」という広場に出ることができます。
しかし道の半分辺りにある脇道を進むと、
右に行けば「トゥモローランド」、左に行けば「アドベンチャーランド」というエリアに行くことができます。
当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、
メインストリートUSAではこれができません。
道の途中に脇道は存在するのですが行き止まりとなっており、
一度プラザまで進まなければどのエリアにも行けないようになっています。
実はメインストリートUSAのこうした構造にはちゃんとした意味があり、
一度城前の広場であるプラザまで来ることによって
そこから自分が行きたい好きなエリアを選ぶことができるという構造になっているのです。
この話については、過去に「世界のディズニーランドの「城」について考えてみる」という記事で触れました。
しかしワールドバザールのように途中で通り抜けできれば便利です。
個人的な感想ですが、東京ディズニーランドは他にも通行に便利なように設計されていると思う箇所がいくつかあります。
これらについてはまた別の機会にお話ししましょう。
さて、最後に最新のワールドバザールについて紹介しようと思います。
それが中国の上海ディズニーランドに存在する
「ミッキー・アベニュー」です。
上海ディズニーランドは中国人向けに作られたディズニーランドで、
元々ディズニーランドにあったアメリカ的な要素がかなり排除されました。
その結果、メインストリートの街並みはアメリカの商店街ではなく
ミッキーや仲間達の店が並ぶ商店街となったのです。
以上、「ワールドバザール」について考えてみました。
普段で入り口として通り過ぎてしまうかもしれないワールドバザールですが、
たまにはゆっくりと散策してみるのも面白いかもしれません。
参考文献
- 「Disney News Magazine 1993 Summer 」