自宅にいながらディズニーパークを楽しむブログ

年2、3回インパの遠方民がいかに自宅でディズニーパークを楽しんでいるかをお話しします

「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」の歴史について考えてみる

「スターコマンドを甘くみるなよザーグ」

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画像は香港ディズニーランドのもの
"Buzz Lightyear Astro Blasters" by Rob Young is licensed under CC BY 2.0

バズ・ライトイヤーアストロブラスター」は
屋内のライドにシューティングの要素を追加したアトラクション。
乗り物に乗りながら
手元の銃を使って
部屋中に張り巡らされた的を狙い撃ちます。
的を撃つとキャラクターが反応したり、
隠れ的が出現したりと、
高得点を目指さなくても楽しめるアトラクションとなっており
現在でも多くのゲストに人気があります。

その人気は世界レベルで、
名前や内容が異なるものの
一時期は全ての国のディズニーパークに存在したこともあった
数少ないアトラクションの1つとなっています。

さてこのアトラクション、
実はとある不憫なアトラクションの改良案
として提案されたのが元でした。
その話を始めるには、まず遠く離れたフロリダのディズニーパーク
「マジック・キングダム・パーク」
に存在した、
とあるアトラクションの話をする必要があります

1972年、今から50年弱も前の話
マジック・キングダム・パークのトゥモローランドには「イフ・ユー・ハド・ウィングスというアトラクションがありました。

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画像出典:File:Disneyworld, Orlando, FL, summer 1972 10.jpg - Wikimedia Commons

こちらのアトラクションは、ホーンテッドマンションのような2人乗りの乗り物に乗り、
世界の観光地が描かれた空間を巡るというものでした。
スポンサーはイースタン航空」という当時存在した大手航空会社。
そのスポンサーの意向が大きく反映されていたため、
内容も世界の観光地を巡るというものだったのです。
東京ディズニーリゾートでは
スポンサーの意向がアトラクションに反映されることはあまりないですが、
海外のディズニーパークではスポンサーが変わって
アトラクションの内容が大幅に変更されることもよくあります

しかし1987年、
イースタン航空が財政難によりスポンサーを降りました。
スポンサーがいなくなったため、
イースタン航空の要望で行っていた演出は全てカットされ
名前も「イフ・ユー・クッド・フライ」に変更されました。

その後、新たにデルタ航空という航空会社がスポンサーにつきました。
それに伴いアトラクションも1から新たに作り直され
「デルタ・ドリームフライト」となりました。

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画像出典:Disney Parks Blog Time Capsule: June 2011 | Disney Parks Blog

こちらは世界の風景に加え
人類と航空の歴史についても描かれました。
イフ・ユー・ハド・ウィングス同様、
スポンサーの意向が大きく反映されたものになりました。

しかし歴史は繰り返されます
1996年、デルタ航空がスポンサーを降りたのです。
これによりアトラクションの題名は一時「ドリームフライト」とされ
その後は「テイクフライト」の名で、
デルタ航空に関する言及を消去した上で運営されました

…さてどうしましょう。
2度もスポンサーを切られてしまったアトラクション。
しかしこのまま運営するわけにもいかず
早急に別のものにリニューアルする必要がありました。
その頃、ディズニーが配給していた
ピクサー」というアニメ会社が制作した映画
トイ・ストーリー
世界初の全編フルCGアニメーション映画ということで
大ヒットを記録します。

この映画に登場する「バズ・ライトイヤー」というキャラクターは
スペース・レンジャーという宇宙の戦士で
トゥモローランドのテーマにもぴったりです。
この大ヒット映画をテーマとし
さらに昔ながらの2人乗りの乗り物に
新たに銃を取り付けてシューティングゲームとしたことで
大人気アトラクション
バズ・ライトイヤーのスペース・レンジャー・スピン」
は誕生したのでした

ん?スピン?
そう、先ほども言った通りバズ・ライトイヤーアストロブラスター
パークによって名前や内容が異なります。
その中でも一番最初にオープンしたマジック・キングダムのものはかなり内容が異なるのです。

最も明確な違いは
乗り物から銃が外せないこと。

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"Buzz Lightyear's Space Ranger Spin" by Neuski is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

後ろのグリップを持って向きを変えることしかできないため、
正確に的を狙うには
乗り物に取り付けられたレバーを傾けて
文字通り「スピン」させる必要があります。
だからアトラクションの名前でも
スピンが強調されているわけなんですね。
因みにこのスピン機能は、
その後の全てのバズ・ライトイヤーのシューティングライドに
引き継がれました。

因みにここでちょっと面白情報。
バズ・ライトイヤーの天敵「帝王ザーグ」ですが、
映画で登場したのは1999年公開の「トイ・ストーリー2
んで、バズ・ライトイヤーのスペース・レンジャー・スピンがオープンしたのは
なんと1998年。
ザーグ登場しないの!?と思いきや
実は登場するんです。

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"Buzz Lightyear Space Ranger Spin - Magic Kingdom" by hyku is licensed under CC BY-SA 2.0

つまり
ザーグの初登場は映画ではなくアトラクション。
たった1年の差ですが、なかなか珍しい話です。

屋内のアトラクションにシューティング要素を加えた新しさから大人気となり、
東京ディズニーランドにもオープンが検討されました。
しかしこのアトラクションは元々「イフ・ユー・ハド・ウィングス」を改良し続けて
作られたアトラクションであり、
イフ・ユー・ハド・ウィングスはマジック・キングダムにしか存在しません。
つまり同じようにアトラクションを作ることはできないのです。

ここで登場するのが
当時東京ディズニーランドに存在した「ビジョナリアム」というアトラクション。

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画像出典:File:Timekeeper (Magic Kingdom) 1.jpg - Wikimedia Commons

ビジョナリアムは9枚のスクリーンが円形のシアターの壁一面に配置されており、
360度全ての映像が楽しめるというアトラクションでした。
しかしいつの時代も映像がメインのアトラクションは飽きられやすいというのが世の理。
このアトラクションもオープンから10年近くが経ち、
リニューアルされることになりました。
そこでこの広大な360°シアターを大改造し、
バズ・ライトイヤーのアトラクションを作ってしまうことになったのです。
ただそれだけでは敷地が足りず、
屋内の待機列の一部アトラクションにしたため、
極端に屋内の待機列が少なくなってしまいましたが…
その後カリフォルニアパリ香港のディズニーランドにも
同じようにバズ・ライトイヤーアストロブラスターが作られました。

さて、ここまで現代のバズ・ライトイヤーアストロブラスター
誕生するまでの歴史を見てきましたが、
ここで最新のバズ・ライトイヤー
お見せいたしましょう!
2016年、上海ディズニーランドにオープンした
バズ・ライトイヤー・プラネット・レスキュー」です

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"Shanghai Disneyland" by Roller Coaster Philosophy is licensed under CC BY 2.0

まず、的が液晶化したことにより当てやすくなり、
当たった反応も分かりやすくなりました。
また、そこら中にスクリーンが配置されており、
バズが映像で動き回ります。
テーマは「オモチャの世界」というよりは
映画「トイ・ストーリー2」でレックスが遊んでした
バズ・ライトイヤーのゲームの世界に近いです。
的もただ単純に点数が異なるわけではなく、
高難易度の的の方がゲージが溜まりやすくなり
ゲージが一定数貯まると大量に得点がもらえるという
テクニカルなものになっているようです。
(説明が中国語なのでよく分からないんですけど…)

以上、バズ・ライトイヤーアストロブラスターの歴史
そして世界のバズ・ライトイヤーについて
紹介しました。
最近ではバズ・ライトイヤーではなく
別のキャラクターがテーマとなった
シューティングアトラクションも登場しているので、
また別の機会に紹介したいと思います。

参考文献