自宅にいながらディズニーパークを楽しむブログ

年2、3回インパの遠方民がいかに自宅でディズニーパークを楽しんでいるかをお話しします

「魅惑のチキルーム」をその原点から考えてみる

ここがチキ・チキ・チキ・チキ・チキルーム♪
そうさチキ・チキ・チキ・チキ・チキルーム♪
さぁ小鳥も花も〜♪
ここがチキ・チキ・チキ・チキ・チキルーム♪

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"Enchanted Tiki Room, Adventureland, Disneyland, Anaheim, California" by Ken Lund is licensed under CC BY-SA 2.0

こちら、魅惑のチキルームのテーマソング「チキ・チキ・チキルーム」。
現在のバージョンでは歌われていないので知らない方も多いかも。
魅惑のチキルームといえば綺麗な花や鳥達、彼らが織りなす美しいミュージカル。
…と、その一方で。
どんなにパークが混んでても大抵5分待ちで入れるせいで。
疲れた大人の休憩所
と思ってはいませんか?

いや確かに中は快適だし、ゆったりできるし、
何より冬場は待機場所の岩のベンチがあったかいし!!
それでも、魅惑のチキルームにはディズニーのアトラクション好きにはたまらないとっておきの秘密があるのです。
本当は公式がこういうことを推してくれたらなと思うけど…
当分そういうことはなさそうなのでここに記そうと思います。

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"Sleeping Beauty Castle" by HarshLight is licensed under CC BY 2.0

魅惑のチキルームは最初にアメリカの元祖ディズニーランドにオープンして、
後に東京ディズニーランドと一緒に日本にやってきたアトラクションです。
東京ディズニーランドのオープンは1983年。
んで魅惑のチキルームのオープンが1963年。
20年も前なのです
さらに言えば今から55年以上前です
…古すぎていまいちピンとこないかもしれませんが、当時は日本は高度経済成長期、1回目の東京オリンピックが開催されたのが1964年です。
内容の変更はあれど、あの鳥と花が歌うショーが55年以上前にはもうあったのだから凄い話。
因みに元祖ディズニーランドのオープンは1955年。
オープンから数年で運営が安定してきたかな〜という時期にオープンしたアトラクションでした。

魅惑のチキルームがオープンするちょっと前、アメリカディズニーランドでは新たな施設を計画していました。
それが、色とりどりの鳥や花が登場する
レストラン
…大丈夫ですって、最後には話がちゃんと繋がりますから。

さてこのレストラン、華やかな内装とは裏腹に問題がありました。
中にいるのは鳥です、そして鳥は生き物です。
当然生き物なら動きますし、羽を落としますし、ウ◯コだってします
そこで1つの名案が
「本物の鳥じゃなくて機械の鳥を使えばいいんじゃね」
当時は既に存在した「ジャングルクルーズ」が、思い通りに動いてくれない本物の動物ではなく機械の動物を使用するという手法を取っていました。
また、色々あって以前生き物の動きを機械で表現するための研究を行なっていたこともありました。
とうわけで、顔の動き、尾の動き、呼吸による胸の動きなんかを綿密にプログラミングすることができる機械の鳥が誕生しました。

するとまた話が変わってきます。
「これレストランにしておくのには勿体ないな」
そもそもレストランはゲストが食事をするため、1組あたりの所要時間が必然的に長くなります。
そうなるとこの鳥のショーを見れる1日あたりのゲストが限られてしまうことになります。
より多くのゲストにこのショーを体験してもらうため、結局レストランではなくショーアトラクションとなることが決定しました。
これが「魅惑のチキルーム」の誕生です。

最初にも言いましたが、このアトラクションの凄いのは作られたのが1963年ということ。
比較してみると、世界初の産業用ロボットである「ユニメート」が作られたとされているのは1961年か1962年。
ロボット技術のどれだけ創世記にオープンしたかということが分かります。
そんな時代故のこんな逸話もあったりします。
魅惑のチキルームがオープン後、
苦労したのがゲストにアトラクションの内容を伝えることだったんだとか。
「鳥と花が歌うミュージカルショー」と言われてもよく分かりません。
かといって「機械の鳥ですよ」なんていっしまえば台無し。
そこで、アトラクションの入り口に1羽の(もちろん機械の)鳥を設置し、アトラクションの呼び込みをさせました。

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"Walt Disney's Enchanted Tiki Room Images" by Sam Howzit is licensed under CC BY 2.0

これが大好評…というか
人気になりすぎまして
ゲストは初めて見るリアルに動き歌う鳥に大興奮。
鳥を見るために立ち止まり、そのまま魅惑のチキルーム前の通路を渋滞させてしまたんだとか…

これだけ人気のアトラクションですから、後にフロリダや日本に作る新たなディズニーランドにも建設されることになりました。
んでその際にオリジナルのものと大きく変更された箇所が1つ。
入り口付近のパゴタと呼ばれる何十にも屋根が重なった塔です。

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"The Enchanted Tiki Room: Stitch Presents Aloha e Komo Mai!" by Castles, Capes & Clones is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

立派な塔ですね。
ですがこれ中身は空で、あくまでアイコンとしてのための塔。
こんな大きな塔がなぜ追加されたのか?
一説にはこんな話があります。
先述したとおりオリジナルの魅惑のチキルームは元々レストランになる予定でした。
レストランにする予定の場所に作ったもんだから
狭い通路の途中に入り口にあって、
要するに建物が凄い地味なんです。
後に作ったフロリダや東京では流石に通路の途中では無いものの、
そのまま作ると建物が地味すぎてゲストがアトラクションの場所がわからなくなるんじゃないか?ということで、
目印としてこんなに大きな塔が建てられた
という話です。

ここまでの話でも魅惑のチキルームの印象がかなーり変わったと思いますが、
最後に最初に話した
ディズニーのアトラクション好きにはたまらないとっておきの秘密
について話しておきましょう。
機械の鳥を使う際の「生き物の動きを機械で表現するための研究」という話、
ディズニーランドのアトラクションで機械で生き物を表現しているのって
何も鳥だけじゃありませんよね?
人、動物、モンスター…
後に様々なキャラクターを動かすようになった技術の先駆け
それがこの魅惑のチキルームなのです。
最近では「美女と野獣“魔法のものがたり”」で
口の動きや表情の一つ一つまで表現できるベルや野獣にまでこの技術が生かされており、
その技術の根源が魅惑のチキルームにあるとも言えるわけです。
どう?こういうのワクワクしません?
魅惑のチキルーム行きたくなりません??

…まぁ、そんな感じでして
因みにこの技術については「オーディオ・アニマトロニクス」という名が付けられており、
この誕生の歴史もまーた面白くて、
これについて書くともう1記事書けるくらい話が長くなってしまうので、
また別の機会に書こうと思います。

参考文献